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【男女の賃金格差】管理職登用歩み遅く 官民とも、遠い政府目標

 女性活躍の旗振り役が期待される都道府県の職員給与を巡り、男女差のデータが初めて示された。給与が高い管理職への女性登用の歩みが遅いことが格差の一因となっている。官民問わず政府が約20年前に打ち出した女性登用の目標は、達成できていない。民間企業の男女の賃金格差は先進7カ国(G7)で最下位。男女均等への道は遠い。

賃金格差が生じる要因
賃金格差が生じる要因

 ▽先送り
 政府は2003年、議員や官民の課長相当以上の役職など「指導的地位に占める女性の割合を20年までに30%程度にする」との目標を掲げた。
 厚生労働省が22年の男女の賃金データを基に格差の要因を分析したところ、トップは「役職(管理職などの男女比率)」だった。「勤続年数」「労働時間」が続いた。
 女性管理職の割合を見ると、都道府県職員は全国平均で12・7%(内閣府23年公表)。民間企業でも課長相当以上の女性の割合は12・7%(厚労省23年公表)で、いずれも政府目標には届いていない。政府は達成時期を「20年代の可能な限り早期に」と先送りしている。
 ▽年齢構成
 管理職は給与が高いため、登用が男性に偏ると格差が大きくなる。以前は現在よりも「男性は仕事、女性は家庭」という性別役割意識が強かったため、結婚や出産を機に退職する女性が相次いだ。役職は年功序列により決まることも多く、現在管理職になる年齢層に女性が少ないのが現状だ。
 都道府県が公開した資料でも格差の要因に関し、長野は「男女の年齢構成が、男性は50代が多いのに対し、女性は30代以下が多い」と指摘した。
 格差が最小の香川は、若い女性職員の登用に積極的。担当者は「係長や課長補佐の女性割合が高い」と言う。東京は年代や職層別の研修、キャリア形成などの相談制度を充実させ「女性の管理職割合は増加傾向にある」(担当者)と話す。
 ▽下から4番目
 国際的に見ても日本の男女の賃金格差は大きい。経済協力開発機構(OECD)によると、加盟国など41カ国ではいずれも女性の賃金が男性より低く、各国共通の課題と言える。その中でも日本は下から4番目で、G7では最下位だ。
 23年6月に栃木県日光市で開かれたG7男女共同参画・女性活躍担当相会合でも、男女の経済面の平等実現が主要議題となった。
 男女の賃金格差問題に詳しい明治大の原ひろみ教授(労働経済学)は「各自治体で格差が生じている原因を確認してほしい。継続して改善に取り組んでいくことも必要だ」と指摘した。

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