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【施政方針演説】カネ一色、政権浮揚見えず 首相苦境、野党攻勢

 政治改革がテーマの通常国会で、岸田文雄首相が施政方針演説に臨んだ。自民党派閥の裏金事件により、国民の信頼が揺らいだと謝罪した首相。能登半島地震の復興や経済再生に全力を挙げる考えを示したものの、永田町は「政治とカネ」一色の様相を帯びる。政権浮揚の展望が見えず、苦境に立つ首相に対し、野党は攻勢を強めた。

岸田首相が施政方針演説を行った衆院本会議=30日午後
岸田首相が施政方針演説を行った衆院本会議=30日午後
衆院本会議で施政方針演説をする岸田首相=30日午後
衆院本会議で施政方針演説をする岸田首相=30日午後
岸田首相の施政方針演説の内容と課題
岸田首相の施政方針演説の内容と課題
岸田首相が施政方針演説を行った衆院本会議=30日午後
衆院本会議で施政方針演説をする岸田首相=30日午後
岸田首相の施政方針演説の内容と課題

 ▽悲愴感
 「国民から疑念の目が注がれる事態を招いたことは、自民党総裁として極めて遺憾であり、心からおわびする」。30日、首相は衆院本会議で陳謝した。派閥は金と人事から決別すると訴えたが、野党は「裏金をもらった議員のリストを出せ」とやじを浴びせた。
 演説では、首相が「政権の最大の使命」と位置付けた経済政策よりも先に、政治改革に言及せざるを得なかった。裏金事件で内閣支持率は過去最低水準に沈む。官邸筋は「信なくば立たずだ。政治の安定がなければ政策は推進できない」と悲愴感を漂わせる。
 ▽もくろみ
 この他に首相が演説の柱としたのが、震災の復旧・復興と賃上げの実現だ。14日の被災地視察のエピソードを盛り込み「できることは全てやる」と力説。経済政策には政治改革の約5倍の分量を割き、「賃上げ」を18回連呼した。
 首相の視線の先には、再選を目指す9月の自民総裁選がある。3月に本格化する春闘回答で賃上げの動きを広げ、3月末までに震災復旧財源を含む2024年度予算案を成立。6月に1人4万円の定額減税が始まれば、低迷から抜け出せるともくろむ。政府筋は「夏ごろには雰囲気が変わるはずだ」と期待する。
 ▽ハードル
 ただ目の前にはハードルが待ち受ける。31日から各党代表質問がスタートし、与党は2月5日から一問一答形式の衆院予算委員会を見込む。野党は首相を徹底的に追及しようと手ぐすね引いており、与党ペースで国会日程が進む保証はない。
 立憲民主党の安住淳国対委員長は30日、自民の浜田靖一国対委員長と会談し「裏金議員のリストを出してもらわないと、2月5日はすんなりスタートできない」とけん制した。
 野党は論客を並べて首相に挑み、政権の体力を奪う戦略を描く。立民の泉健太代表は「自民党は裏金に汚染されている。汚れた手で経済対策や復興支援ができるのか」と記者団の前で断じた。首相周辺は「政治とカネばかりで、他の政策論が薄まっている」と嘆く。
 4月には衆院島根1区、長崎3区の補欠選挙が控える。政権が低空飛行のまま苦戦を強いられれば、首相が求心力を失い、総裁再選へ暗雲が垂れ込めかねない。政権幹部は「一つ一つ課題を解決するしかない」とつぶやいた。

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