あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 読み応えあり

野菜収穫ロボットにお任せ AI、サイズ見極め選別【スクランブル】

 キュウリやトマトなどのハウス栽培で、人工知能(AI)を使った収穫ロボットが導入され始めた。AIが野菜の成長を見極めて自動で収穫。生産者は手間のかかる作業を任せることで、人手不足解消の一助になると期待している。

AIを使ってミニトマトを自動収穫するロボット=5月、オランダ(inaho提供)
AIを使ってミニトマトを自動収穫するロボット=5月、オランダ(inaho提供)
AIでキュウリの大きさを見極めて収穫する、AGRIST(アグリスト)のロボット=9月、埼玉県羽生市
AIでキュウリの大きさを見極めて収穫する、AGRIST(アグリスト)のロボット=9月、埼玉県羽生市
AIでキュウリの大きさを見極めて収穫する、AGRIST(アグリスト)のロボット=9月、埼玉県羽生市
AIでキュウリの大きさを見極めて収穫する、AGRIST(アグリスト)のロボット=9月、埼玉県羽生市
AIを使ってミニトマトを自動収穫するロボット=5月、オランダ(inaho提供)
AIでキュウリの大きさを見極めて収穫する、AGRIST(アグリスト)のロボット=9月、埼玉県羽生市
AIでキュウリの大きさを見極めて収穫する、AGRIST(アグリスト)のロボット=9月、埼玉県羽生市

 青々とした葉が生い茂る中を四輪のロボットがゆっくりと進む。しっかりと育ったキュウリだけを選び、アームを伸ばしてつかみ取る。今年9月、農業用ハウスなどを手がけるタカミヤの子会社「タカミヤの愛菜」(東京)の埼玉県羽生市にある栽培農場。吉田剛取締役農場長は「茎を切ってしまわないか心配だったが、ロボットは正確に動く。人手の確保が難しい中、期待している」と目を細めた。
 ロボットは農業ベンチャー「AGRIST」(アグリスト、宮崎県新富町)が開発したものをレンタルした。AIがロボットに搭載したカメラの映像を基にキュウリの大きさをチェック。2分間に1~3本ほどのペースでキュウリを切り取り、ケースに入れる。
 茎を傷つけず安全に収穫するため、アームと収穫物の位置関係も正確に把握する。アグリストは2019年に創業して収穫ロボットを開発してきたが、有償の貸し出しは初めて。実績を積むことで、導入する農場が増えると期待する。
 農業ベンチャー「inaho」(イナホ、神奈川県鎌倉市)は、ミニトマトを夜間に自動収穫するロボットをオランダの農園にレンタル。AIが映像を分析し、熟して取りやすいトマトを複数選び、アームを使ってまとめて収穫する。
 茎の裏などに実ったトマトを取ろうとするとロボットの構造が複雑になり、コストに見合わなくなる。ロボットは収穫に適したトマトの4割程度を収穫し、残りは昼間に人がもぎ取るようにする。農業先進国と呼ばれるオランダを皮切りに、世界展開を目指す構えだ。
 イナホの大山宗哉最高執行責任者(COO)は「ロボットが全ての実を収穫するにはまだ時間がかかるが、現状でも人手不足の現場を支える役割は果たせる」と話す。トマトのほかアスパラガスの収穫ロボットを開発しており、25年度にもレンタルを始める見込みだ。
 東京大の深尾隆則教授(ロボット工学)は「収穫ロボットが動きやすいハウス栽培を手始めに、露地栽培にも導入例が増えていくだろう。将来はロボットをフルに活用するため、あらかじめ作物の配置などを考慮して農場を整備するようになる」と指摘している。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

読み応えありの記事一覧

他の追っかけを読む