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【マイナス金利解除】静岡県内金融トップ「システム正常化に期待」「中小への影響懸念」

 日銀がマイナス金利政策を含む大規模緩和の解除を決めた19日、静岡県内の金融機関トップは金融システムの正常化に期待感を示しつつ、影響を受ける地域経済や地元企業への適切な支援継続の重要性を強調した。地元経済団体では「影響は限定的」と冷静な見方の一方、借入金利の上昇に伴う中小企業の経営悪化を懸念する声も上がった。

金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除が決まり、記者会見する日銀の植田総裁=19日午後3時31分、日銀本店
金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除が決まり、記者会見する日銀の植田総裁=19日午後3時31分、日銀本店

 静岡銀行の八木稔頭取は日銀の政策変更を「時宜を得た決定」と評価した。今春闘の賃上げ率が5%を超え、物価の上昇傾向も強まるなど「長く低成長が続いた国内経済の情勢は着実に好転している」。マイナス金利解除で「本来あるべき正常な金融システムに回帰する」とした上で、今後の市場変動や取引先の課題、ニーズを見極めて適切な対応を継続するとした。
 県信用金庫協会の田形和幸会長(しずおか焼津信用金庫理事長)は、預金と融資の段階的な金利上昇を「お客さまに恩恵と負担が交錯する可能性がある」と受け止めた。地域経済の成長には価格転嫁と賃上げの好循環が必要とされるが、「企業を個別に見ると、必ずしも順調なサイクルを実現できていない」と指摘。伴走支援を信金の役割とし、企業の課題解決に尽力する決意を新たにした。
 県商工会議所連合会の岸田裕之会長(静岡商議所会頭)は「急激な金利上昇や円高進行の可能性は低い」とみる。金融市場の不安定化には気を配りつつ、日米の金利差縮小による円安是正が企業の採算改善につながると期待した。浜松商議所の斉藤薫会頭は金利や為替の変動により「特に中小企業に大きな影響を与える可能性がある」との見方を示した。
 県中小企業団体中央会の山内致雄会長も、コスト高や人件費高騰などに苦しむ中小への影響について「急激な金利上昇は長期的な休廃業の増加につながる」と懸念。日銀に対して「現況に応じた迅速かつ実効性の高い金融政策を期待したい」と訴えた。

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