テーマ : 編集部セレクト

大自在(3月7日)ミツバチ

 ミツバチが花を求めて盛んに飛び回る季節。あす3月8日は「ミツバチの日」だ。「3(みつ)」「8(はち)」の語呂合わせで、1985年に全日本はちみつ協同組合と日本養蜂はちみつ協会(当時)が決めた。
 女王蜂、雄、すべて雌の働き蜂による分業や、新世代の女王蜂が誕生すると、旧世代の女王蜂が半数の働き蜂を連れて巣を離れる分封など、その生態は驚きに満ちている。特にニホンミツバチが天敵のオオスズメバチを撃退する熱殺蜂球[ねっさつほうきゅう]には驚愕[きょうがく]する。
 オオスズメバチにとってミツバチの巣は格好の餌場。群れで襲って成虫を殺し、幼虫などを奪って自分の幼虫の餌にする。しかしニホンミツバチは、その前に単独で偵察にやって来たオオスズメバチを巣におびき寄せ、何百匹で飛びかかって巨大な蜂球に閉じ込める。
 蜂球に加わった働き蜂は胸の筋肉を震わせて発熱し、偵察役を蒸し殺してしまう。蜂球の中心部は48度にもなる。オオスズメバチは45度前後で死んでしまうが、ニホンミツバチは50度近くに耐えられる。この差を利用した命がけの防衛策だ。1980年代に玉川大の小野正人教授が発見した。
 働き蜂は生き残っても寿命が4分の1ほどに縮む。短命化したハチは次にこの戦法をとる時、かみ殺されて犠牲になりやすい蜂球の中心に率先して集まるというからさらに驚く。
 ミツバチはさまざまな農産物の受粉に貢献し、人間生活になくてはならない昆虫だ。ところが近年は世界中で激減し、温暖化の影響も指摘される。小さな昆虫が発する人間への警告だろう。

いい茶0

編集部セレクトの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞