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テーマ : 動物・ペット

オキナワキノボリトカゲ 浜松に定着 沖縄生息の絶滅危惧種 静岡県では外来生物

 浜松市北区の住宅地に近い山林で数年前から、沖縄県の沖縄諸島などで生息する「オキナワキノボリトカゲ」が確認されていることが24日までに、関係者への取材で分かった。調査を進める静岡大の加藤英明准教授によると、現地で繁殖している可能性が高いとみられる。加藤准教授は「周辺に植物業者はなく、このトカゲが観葉植物などに混入したとは考えにくい。遺棄されたペットが定着したのではないか」と指摘する。

浜松市内の山林で繁殖しているとみられるオキナワキノボリトカゲ=5月上旬、同市北区
浜松市内の山林で繁殖しているとみられるオキナワキノボリトカゲ=5月上旬、同市北区


 5月上旬、同区内の住宅街近くで、シイの木の周辺に現れた同トカゲをカメラで捉えた。全長は20センチ弱。緑を帯びた体色で、雄の成体とみられる。加藤准教授らの調査では、2018年には10匹以上を捕獲した。これ以降も目撃情報が続き、近隣の男性によると、今年も4月以降、小さな幼体が少なくとも3匹以上捕獲されたという。
 沖縄県では絶滅が危惧される在来種だが、本県では生態系に影響を与える国内移動の外来生物と位置付けられる。浜松市環境政策課によると、これまでに同トカゲによる周辺への影響は報告されていない。成体はカマキリなど口に入る生き物は何でも食べてしまうため、市は「生態系への影響が懸念される。ペットは最後まで責任を持って飼育してほしい」と呼びかける。
 発見した個体を捕獲して数を減らしていけば、在来種の鳥やヘビなどによる捕食で完全駆除が期待できるとの見方もある。加藤准教授は「生息範囲は広くないので、すべてを取り除くことも難しくはないが、トカゲを放しに来たとみられる愛好家の目撃情報もある。沖縄の希少な生き物に関して、野生個体の捕獲や移動、流通を規制する必要がある」と強調した。

 オキナワキノボリトカゲ 沖縄県の沖縄諸島や鹿児島県の奄美群島などに生息するアガマ科の爬虫(はちゅう)類。全長20~30センチ。環境省の絶滅危惧種に指定されている。主に木の上で過ごす樹上性トカゲ類で、雄の体色は緑を帯びる。九州南部でも、国内移動の外来生物として定着が報告されている。

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