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テーマ : 動物・ペット

おもてなし、愛犬にも 「イヌバウンド」客獲得目指す 宿泊“犬”数6000匹 伊豆長岡温泉・小松家八の坊

 伊豆長岡温泉の旅館「小松家八の坊」が、愛犬家の利用に特化した大胆なリニューアルに踏み切り、話題を呼んでいる。年間1500匹だった“宿泊犬数”は昨年度、約6千匹まで増えた。旅館を運営する望月敬太専務(38)が目指すのは愛犬を伴った訪日外国人旅行(インバウンド)、「イヌバウンド」文化の確立、開拓だ。

犬と一緒に泊まれる設備を紹介する望月敬太専務=3月下旬、伊豆の国市長岡の「小松家八の坊」
犬と一緒に泊まれる設備を紹介する望月敬太専務=3月下旬、伊豆の国市長岡の「小松家八の坊」

 同旅館には愛犬と過ごせる設備が豊富にそろう。添い寝ができるベッドや一緒に入れる露天風呂も整備した。ソファやテーブル、壁紙などは引っかいても差し支えのない素材に。屋上にはドッグラン、犬専用の作務衣(さむえ)もある。
 昨年末には広さ約120平方メートルの2部屋を改修。愛犬と家族全員で過ごせる最高級の客室が誕生した。望月専務によると、この部屋から埋まっていくほど人気があるという。ロビーには新たに愛犬同士の交流ができるスペースを設けた。
 同旅館は約20年前から愛犬を伴う宿泊も受け入れていたが、愛犬家の利用に特化はしていなかった。望月専務が運営を継いだ2015年以降、旅館の方針についてスタッフと議論する中で「愛犬連れの客に対応している時が楽しい」との思いを共有した。その後、コロナ禍で利用客が激減。愛犬家歓迎を前面に打ち出す旅館として再スタートすることを決意し、21年に新装に至った。
 伊豆の国市産業部観光文化課の井上勝課長(54)は同旅館について「伊豆長岡温泉にとっても良い起爆剤になっていて、斬新な取り組み」と歓迎する。コロナ禍で同市の観光業が打撃を受ける中で「思い切ってかじを切ってくれて、新たな観光を推し進めていく上でのヒントになった」と語る。
 望月専務が見据える先にあるのは「世界」。だが課題もある。望月専務によると、例えばフランスでは夏に数週間単位で休暇を取るのが一般的だが、旅先に連れて行きにくいなどの理由で、ペットを手放す飼い主も多い。リニューアル後の外国人観光客の宿泊は1件で、飛行機でのペット輸送方法や動物検疫の認識は不十分という。「外国にはあまりないペットと観光したり風呂に入ったりする文化が、日本には根付いているということを外国人に伝えたい」と話す。

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