ツバメ“綱渡り”の営巣 民家のケーブル上に 御前崎
なぜそこに―。御前崎市池新田の早馬彰夫さん(70)宅で、車庫の天井に張られた電源ケーブルの上にツバメが巣を作っている。
ケーブルの太さは約1センチ。営巣には不安定すぎる場所だが、4年ほど前から毎年つがいがやって来て、せっせと土を運び巣を成形している。どの年も早々に崩れ落ちたが、今年は4月中旬以降、失敗を繰り返しながら過去最大の握り拳ほどの大きさになった。
実は同じ車庫のシャッターの陰にもう一つ巣がある。こちらは約10年前からで、早馬さんが皿を設置したことで安定し、毎年ひなが生まれている。ただ、細いケーブルの上となると手助けが難しい。「ここまで大きくなったのはまさに執念だが、またひっくり返ってしまわないか」と早馬さんは不安げだ。
ケーブルに巣作りするツバメはシャッターの陰で生まれたのかもしれない。だとしたら、たとえ条件が悪くても“実家”の近くに建てたいのかな―。早馬さんはそんな想像を膨らませながら、文字通り綱渡りの営巣を祈るように見守る。