外来チョウ・アカボシゴマダラ 静岡県内定着か 関東から急拡大
浜松市北区細江町でこのほど、在来種との競合が懸念される特定外来生物のチョウ「アカボシゴマダラ」が目撃、撮影された。静岡昆虫同好会(諏訪哲夫会長)によると、関東から徐々に生息域を広げ、静岡県西部では2、3年前から目撃例が相次いでいるという。県内全域で既に定着したとみられる。
環境省野生生物課外来生物対策室などによると、アカボシゴマダラは1990年代に国外から関東に持ち込まれたとみられる個体が分布を広げていて、奄美諸島に日本固有の亜種が生息している。羽に赤色の斑紋がある「夏型」と斑紋が減退した「春型」がいる。
幼虫はエノキの葉を食べるため、同じ餌を必要とするオオムラサキ、ゴマダラチョウなどへの影響が危惧され、2018年に特定外来生物に指定された。同好会によると、県内では10年前後から県東部や静岡市などで見られ始めたという。諏訪会長は「生態系への影響は明確ではないが、分布の拡大は速い」と指摘する。
9月下旬に同町の自宅庭で発見した原山孝彦さん(63)は「台風の通過後に見つかったので珍しい迷いチョウかと思ったが、特定外来生物と知り複雑な気持ち」と話した。外来生物対策室は「人への危害は確認されていないが、飼育、譲渡、野外へ放つなどの行為は禁じられている」としている。
(細江支局・大石真聖)