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テーマ : 動物・ペット

神秘の深海ザメ間近 ふじのくに地球環境史ミュージアム【美と快と-収蔵品物語㊳】

全長2・9メートル オンデンザメ標本 2016年漁獲/駿河湾(写真部・小糸恵介)
全長2・9メートル オンデンザメ標本 2016年漁獲/駿河湾(写真部・小糸恵介)
全長4・6メートル カグラザメ剥製 2018年漁獲/駿河湾(写真部・小糸恵介)
全長4・6メートル カグラザメ剥製 2018年漁獲/駿河湾(写真部・小糸恵介)
カグラザメ全長4・6メートル(写真部・小糸恵介)
カグラザメ全長4・6メートル(写真部・小糸恵介)
全長2・9メートル オンデンザメ標本 2016年漁獲/駿河湾(写真部・小糸恵介)
全長4・6メートル カグラザメ剥製 2018年漁獲/駿河湾(写真部・小糸恵介)
カグラザメ全長4・6メートル(写真部・小糸恵介)

 静岡県内に生息する多様な動植物の標本などを収集保管し、人と自然との関わりを紹介しているふじのくに地球環境史ミュージアム(静岡市駿河区)。膨大な収蔵品の中でも、重要かつ象徴的な存在となっているのが、駿河湾の深海で漁獲されたオンデンザメだ。大型の深海ザメは漁獲の難しさなどから入手機会が少なく、知見の少ない深海生物の世界を知る上で極めて大きな価値を持つという。

 全長2・9メートル、約250キロのオス。2016年10月、駿河湾で深海漁師のはえ縄に掛かった。密閉した大型水槽の保存液(ホルマリン水溶液)の中でつるして保管されている。
 大きなものでは約7メートルに達する。日本周辺海域を含む北太平洋とその周辺海域に分布。高緯度地方では浅海に現れることもあるとされるが、駿河湾では常に深海に生息している。150歳で〝大人〟。展示個体は未成熟で、100歳前後とみられている。
 17年に東京の国立科学博物館で開催された特別展で初めて展示され大きな話題となった。同展終了後、ふじのくに地球環境史ミュージアムに寄贈された。あまりの大きさから即座に建物内に搬入することができず、しばらく屋根付きの屋外暗所で保管されていた。
 18年12月~19年3月に同ミュージアムで開いた企画展「くらやみの覇者 駿河湾のサメに見る多様性と未来-」に合わせて常設展示に。搬入や展示を担当した渋川浩一教授(53)=魚類分類学=によると、一切解剖していない同じ種の液浸標本(保存液中で保管する標本)としては国内最大とみられる。
 駿河湾では、地球上に生息するサメ種の1割以上に相当する64種が確認されている。
 渋川教授は「海のトッププレデター(高次捕食者)として君臨するサメの多様さは(餌となる)駿河湾の生態系の豊かさを表している」とした上で、オンデンザメの標本について「神秘に包まれた深海生物の世界を知る上で学術的にも貴重」と存在意義を語る。
 

漁獲可能な最大の個体

  photo01 全長4・6メートル カグラザメ剥製 2018年漁獲  

 ふじのくに地球環境史ミュージアムが収蔵する、もう一つの目玉が、全長4.6メートルのカグラザメの剝製だ。
 オンデンザメと同じ漁師が2018年に駿河湾で漁獲。その様子はTBS系列のテレビ番組で放送された。解剖を実施し、研究者が試料を採取した上で、剝製にした。19年1月に同ミュージアムに到着し「くらやみの覇者」展で公開。現在も常設展で展示されている。
 世界中に広く分布する深海ザメだが、漁獲した熟練の漁師に「これまでに揚げたカグラザメで最大」と言わしめた大型個体だ。

ふじのくに地球環境史ミュージアム

  photo01  

 静岡市駿河区大谷5762。県内初の県立自然系博物館。学校再編で閉校した静岡南高の校舎をリノベーションし、2016年にオープンした。駿河湾や富士山、南アルプスなどに生息する多種多様な動植物の標本に加え、大地の成り立ちを物語る県内各地から産出した岩石や鉱石、化石などを展示する。「思考するミュージアム」がコンセプトで、展示と向き合いながら、人と自然の関わりの歴史と「これから」を考察できる。


 

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