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「遺産」を次世代へ もてなしと園芸文化 継承【彩りをつなぐ 浜名湖花博2024㊤】

 2004年、浜名湖エリアが舞台となった「しずおか国際園芸博覧会(浜名湖花博)」は、国際的な花の博覧会として目標を上回る544万人が来場し、大盛況で幕を閉じた。あれから20年―。23日、かつてと同じ地域で「浜名湖花博2024」(浜名湖花博20周年記念事業実行委員会主催)が開幕する。レガシー(遺産)の行方や成功への課題、関係者の思いを探る。

「浜名湖花博2024」の開幕に向けて準備が進む浜名湖ガーデンパーク=18日、浜松市中央区(浜松総局・山川侑哉)
「浜名湖花博2024」の開幕に向けて準備が進む浜名湖ガーデンパーク=18日、浜松市中央区(浜松総局・山川侑哉)

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 「色鮮やかな緑が植栽され、整備が進む会場を見てわくわくした」。04年の花博をこう振り返るのは県浜名湖花博20周年記念事業推進室の山本東さん(61)。準備段階から関わった経験を買われて定年退職後に再任用され、事業の成功に向けて準備に奔走する。
 県が10年かけて誘致した04年花博のテーマは「花・緑・水 新たな暮らしの創造」。会場の浜名湖ガーデンパークには多彩なパビリオンと、200以上の屋外庭園が設けられ、季節ごとの花や緑が彩った。現在の推進室で最初の開催に携わったのは山本さん1人だが、「来場者へのもてなしの気持ちは今も昔も変わらない」と意気込む。
 04年花博は、ガーデンパークが「静岡の花博の象徴」(県担当者)として県民に親しまれるようになったほか、花を楽しむ文化を県民に醸成し、ボランティア活動に注目が集まる契機にもなったとされる。
 当時3千人超がボランティアで会場運営や植物管理などに関わり、一部は今もガーデンパークで活動を続ける。04年花博で案内係などを務め、現在は花木の手入れに取り組む岡崎房子さん(79)=中央区=は「20年前と同じく訪れた人に喜んでもらえる手伝いができれば」と実感を込める。今回の花博では、20年前の経験者を含めて新旧300人が運営を支える計画だ。
 04年のレガシーを受け継ぎながら、「社会情勢に応じた変化」にも挑戦する。
 14年開催の10周年イベントは浜名湖地域一帯の賑わい創出を目指してはままつフラワーパーク(同区)と2会場で開催し、20周年の今回はさらにSDGsの視点から、手入れが容易で長持ちする植物を多用したサステナブル(持続可能)ガーデンを整備。「テクノロジー」をキーワードに、スマート農業などの緑と融合する先端技術も紹介する。
 山本さんは「記念事業を通じて、県民からの『10年後、20年後も』という期待感を醸成しなければならない」と強調し、「『花博=静岡』とのイメージをさらに定着させたい」とレガシーを次世代へ継承していく決意を語る。

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