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再配達抑制へ 宅配ロッカーに注目 共用型増加 冷蔵機能が人気

 宅配便の取扱量が大幅に増加し、ドライバー不足が深刻化する中、再配達抑制の解決策として宅配ロッカーの活用に注目が集まっている。どの物流大手からの荷物でも駅前やコンビニで受け取れる共用型の設置数がハイペースで増加。マンションや一戸建て向けでは常温だけでなく、冷蔵機能付きの人気が高まり、冷凍の開発も進んでいる。

 「好きな時間に自分が選んだロッカーで荷物が受け取れる」。2016年設立のパックシティジャパン(東京)は共用型宅配ロッカー「PUDO[プドー]ステーション」を運営。駅前やコンビニ、スーパーなど利便性の高い場所で稼働しており、昨年12月時点の設置数は全国で約6900台。18年時点との比較で約2倍に増加した。
 同社の湯山昭信さんは「荷物の発送ができるのも強みの一つ。新型コロナウイルス禍で非対面が注目され、利用が一気に増えた」と説明する。
 パスワードの入力といった簡単な操作で荷物が受け取れる。ヤマト運輸や佐川急便、日本郵便などの荷物に対応。「自宅に宅配ロッカーのない人だけではなく、サプライズの贈り物の受け取りなどいろいろな活用のされ方がある」と湯山さん。
 国土交通省の集計によると、22年度の宅配便の取扱個数は50億588万個に達した。インターネット通販などの利用の増加が背景にある。
 「これからは常温に加え、冷蔵、冷凍機能も備えた宅配ロッカーが普及してくるはずだ」。マンションなどで高いシェアを誇るフルタイムシステム(東京)の原周平副社長は、こう分析する。食品の宅配ニーズが高まったためで「お客さまの中には『冷蔵は絶対に必要』という人もいる。冷凍は実用化にめどが付いており、順次導入していく」(原副社長)
 最近では宅配ロッカーのシステムが図書館の本の貸し出し、調剤薬局の薬の受け渡しなどに活用されるケースも。神奈川県の茅ケ崎市立図書館は昨年3月、JR茅ケ崎駅の自由通路に「予約資料受け取りロッカー」を設置した。
 読みたい本をリクエストすると、図書館側がロッカーに入れておき、住民は利用者カードで受け取れる。「ロッカーが常に埋まってしまうほどで大変好評だ」(同図書館の国分雪さん)

 <メモ>再配達抑制は、温室効果ガスの排出削減の観点からも注目が集まる。

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