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コロナ公費支援 3月末終了 薬 負担増、入院補助廃止

 武見敬三厚生労働相は5日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルスの治療や医療提供体制に関する公費支援を3月末で終了すると発表した。高額な治療薬代は、医療費の窓口負担割合に応じて1~3割の自己負担となる。入院費の補助もなくなり、患者の経済的負担が増す。4月以降、通常の医療体制へ移行する。5日、全国の自治体に通知した。

4月以降の新型コロナ医療支援
4月以降の新型コロナ医療支援

 現在の感染状況や対応状況を踏まえた判断。武見氏は「一般病床でコロナ患者の受け入れの整備を進めており、移行は問題ないと考えた」と述べた。また、緊急承認されていた塩野義製薬(大阪)の抗ウイルス薬「ゾコーバ」について同日、通常の製造販売を承認したと発表した。
 外来患者を診る医療機関数の目標や病床確保料をなくし、広く一般の医療機関で対応するよう求める。医療費が上限額を超えた場合に支給する「高額療養費制度」は引き続き適用される。
 厚労省によると、新型コロナの感染者数は2月25日までの3週間連続で減少し、冬の流行「第10波」のピークは過ぎたとみられる。公費支援は終了するが、新たな変異株の発生監視や、ワクチンの定期接種の費用の一部助成、後遺症への対応は続ける。医療逼迫(ひっぱく)を引き起こすようなウイルスがもし出現すれば、改めて指定感染症に指定することもあるという。
 通知では、感染拡大時にはオンライン診療の活用を呼びかけている。また、コロナに限らず感染症が疑われる発熱患者を診療した際は、報酬を加算することを2024年度の診療報酬改定に盛り込んだ。
 新型コロナの医療費は当初、全額公費負担だった。感染症法上の位置付けが5類に移行した昨年5月以降、段階的に公費支援を縮小していた。
 治療薬代は現在、3割負担の人は1回の治療当たり9千円で定額となっている。ゾコーバは5日分の薬価が現在5万2千円ほどで、昨年4月以降、3割負担の人は1万5千円超の支払いが求められる見通し。

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