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テーマ : 静岡県内金融機関

立て直しへ営業力強化 中期経営計画前倒し策定 千葉靖史/島田掛川信用金庫理事長【聞きたい】

 6月16日付でトップに就き、新たな3カ年の中期経営計画をスタートさせた。合併に合わせた前計画(計画期間2019~23年度)を1年前倒しで更新した背景には、スピード感を増す社会情勢の変化への対応に加えて、最終赤字を計上した23年3月期決算を踏まえた立て直しがある。原点回帰を意識して営業力や人材投資を強化する。

千葉靖史理事長
千葉靖史理事長

 ―有価証券の損切りで最終赤字を計上した。どのような判断があったか。
 「欧米を中心に各国の政策金利が急激に上がって外国証券や投資信託が大きな影響を受けた。利上げが続く状況下で、含み損を抱え続けるのは経営的に問題。整理すべきと考えた。比較的預貸率が低い地域柄で、貸出金利息と有価証券の運用は収益の2本柱。売却で有価証券の残高が大きく減ったが、本業を強化して確実に収益を生む計画に切り替えている」
 ―新中期経営計画の開始を前倒しした理由は。
 「前計画の策定後に新型コロナウイルスが流行し、デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応のニーズも高まった。外的要因が激変している。変化に共鳴していく新たな計画が必要だった。有価証券の売却に伴って運用益が落ちることも要因の一つ。原点に立ち返って営業力を強化し、深化させることが第一だ。経営陣の意思決定の迅速化と責任の明確化、リスク管理態勢などガバナンス面も改善の余地がある」
 ―計画に掲げた人的資本への投資とは。
 「預金残高5千億円の島田、4千億円の掛川が合併し、1兆円規模の信用金庫になったが、意識は旧金庫の規模から脱皮し切れていない部分がある。個人の力やスキルを磨いて、自立的に仕事ができる環境をつくっていく。職員間の融和に大きな問題を感じていないが、営業戦略に旧金庫の慣習が残っているなど組織の仕組みに課題がある。課題を直視して新しいやり方に変えていく。職員の能力を上げるための人事制度の改革も必要になる」
 ―強みをどう認識し、経営に生かしていくか。
 「中小企業への課題解決型営業は大きな強み。細かい課題があるとはいえ、態勢はできているし成果が上がっている。地域に不可欠な医療と介護を守るため、関連事業者への支援も強化した。遺贈寄付や空き家問題など地域のニーズは多様化していて、幅広く業務を捉えなければならない。鍵はやはり人材への投資になる。合併から4年は慌ただしく流れた。今回の決算を契機に体制の見直しを図っている。組織の屋台骨をしっかり固めていく」

 ちば・やすし 1979年島田信金入庫。人事部長、常務理事合併準備委員長、合併後の島田掛川信金専務理事などを歴任した。日本大卒。島田市出身。66歳。

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