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テーマ : 静岡県内金融機関

浜松モデルで中小脱炭素化 市と地元金融機関、連携事業開始 温室ガスデータ共有、政策立案へ

 2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に向け、浜松市と地元金融機関が連携して市内中小企業の脱炭素経営を支援する動きを本格化している。1日からは金融機関側が集めた市内中小企業の温室効果ガス排出量データを市との間で共有し、支援の政策立案に役立てる連携事業をスタート。「浜松モデル」と銘打ったこの事業などを通じ、資金や知識不足、人材面で脱炭素化に二の足を踏んでいる中小企業を浜松地域全体で支える。

浜松市と金融機関の連携事業の流れ
浜松市と金融機関の連携事業の流れ


 協力するのは静岡銀行と浜松いわた信用金庫。市や両金融機関など計7機関でつくる「浜松地域脱炭素経営支援コンソーシアム」の取り組みの一環で、両金融機関が中小企業に原則無償提供する温室効果ガス排出量算定のクラウドサービス「しずおかGXサポート」の市内分の集約データを市とそれぞれ共有する。
 同サービスは電気やガスの使用量などを表計算ソフトに打ち込むと、温室効果ガス排出量が自動算定され、クラウド上に保存される仕組み。企業の温室効果ガス排出量が「見える化」され、現状把握や削減計画の管理などに役立つ。静岡銀が10月から取り扱いを開始し、浜松いわた信金も静岡銀の協力を受けて来年1月から運用を始める予定。
 両金融機関は普段、地域で競合する間柄。両金融機関の担当者は「カーボンニュートラルの実現という大きな課題の解決には、単独の金融機関で取り組むには限界がある。中小企業が脱炭素化の方向に進むために連携することが重要」と声をそろえ、「脱炭素化に向けた提案、伴走型支援で互いに切磋琢磨(せっさたくま)できれば」と語る。
 市によると、同様の事業は県内で初めてで、全国でも珍しい。当面は年度内に200社程度のデータ収集を目標にしている。市はこのデータを分析し、業種ごとの取り組み状況の把握、効果的な政策、成功事例の横展開へとつなげる。
 市カーボンニュートラル推進事業本部の担当者は「地域に根付いた金融機関が集めたデータを活用し、必要な施策を打つ。地域一体となって脱炭素の取り組みを進めたい」と話した。
 (浜松総局・宮崎浩一)

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