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テーマ : 静岡県内金融機関

旧天竜林高事件 銀行「振込控え渡した」 補充意見書で弁護団提出へ アリバイ新証拠

 浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした調査書改ざん・贈収賄事件の再審請求を巡り、元天竜市長(91)=贈賄罪で罰金刑確定=が、元校長(76)=加重収賄罪などで有罪確定=に現金を渡したとされた日時に、保険契約手続きで銀行に滞在していたためアリバイが成立するとの弁護側の主張に関して、銀行側が弁護側の照会に応じて「手続き後、(元市長に)保険会社所定の振込用紙の一片を控えとして渡しているはず」と回答していたことが、26日までの関係者への取材で分かった。

元市長のアリバイを巡る双方の主張
元市長のアリバイを巡る双方の主張

 2人の弁護人はアリバイ成立の公算がさらに高まる新証拠として補充意見書に盛り込み、3月中に裁判所に提出する方針。
 事件の確定判決などでは元市長は2007年12月10日、スルガ銀行天竜支店(同区)を退店後、午前11時ごろに同校を訪れ、孫の大学進学に便宜を図ってもらった謝礼として現金10万円を元校長に手渡したとされる。一方、同行が昨年9月に開示した振込伝票のデータには、元市長が保険契約金を振り込んだ完了時刻を示すとみられる「12・26」の数字が機械的に印字されていた。
 弁護側は、元市長はこの数字が示す午後0時26分ごろに振込伝票の控えを受け取ってから退店したとして「確定判決の認定は覆る」と指摘する見通し。
 元校長の弁護団の海渡雄一弁護団長は「再審請求事件で、アリバイを含むここまで明確な新証拠が出てくるケースは少ない。強い証拠を示し、作られた事件であることを証明する」と話した。
当日の行動巡る証拠 再審請求の行方左右  元市長が元校長に2回目の現金を渡したとされる2007年12月10日の行動を巡り、検察側と弁護側の主張が対立している。当日の元市長の行動を巡る証拠に対する裁判所の判断が、2人の再審請求の行方を左右しそうだ。
 開示された証拠により、元市長は同日午前10時前に浜松市天竜区内の別の金融機関で振込手続きをした後、スルガ銀行天竜支店を訪れたことが分かっている。同行関連では、保険契約手続きの受付時刻が「午前10時30分」と記載された書類があるほか、午後0時26分に振り込みが完了したとみられる伝票データが開示された。
 検察側は「午前10時30分」の記載について「行員が説明の中間ほどで打ち込んだ時間」であり、午前11時ごろに同支店を出て旧天竜林高に向かい、元校長に現金を渡したと指摘。午前11時15分ごろには、学校関係者が同校玄関で元市長と会って話をしたとの供述があるとする。
 一方、弁護側は、同支店で記載通りの時間に手続きが始まり、保険商品の説明や契約金の振り込みなどで2時間ほどかかり、午後0時26分まで滞在していたと考えるのが合理的との主張を展開する。学校関係者の供述については「捜査機関に誘導されている可能性が高く信用できない」と訴えている。

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