あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 静岡県内金融機関

顧客寄り添い 課題解決/しずおかフィナンシャルグループ社長 柴田久氏【変革力 新年トップインタビュー②】

 ―金融業界の見通しは。

柴田久氏
柴田久氏

 「時期はともかく、金利が上がることは間違いない。現役行員の多くが経験してこなかった世界に入っていく。金利のない世界はいわば値段が何もない、タダみたいな状態。それが今後は預金や貸出金の絶対的なボリューム、地域シェアが収益の差になる。地域のお客さまに対し、どれほど正面を向いてサポートに取り組んできたのか、金融機関として真価が問われる年になる」
 ―金利の上昇局面では何が重要になるか。
 「地域、企業が抱えている課題の解決力だ。ニーズを的確に捉えることから始めなくてはならない。デジタル化や脱炭素という社会に共通した方向性はもちろん、企業ごとで異なる細かな課題も多い。持続的な賃上げには、企業の生産性向上も欠かせない。行員が情報感度を高め、お客さまに寄り添いながら解決策を提案していかなければならない。こうした活動の中で融資やリースなどのサービスを提供し、最終的に金融収益へと結びつけたい」
 ―他の金融機関との関係性は。
 「EV(電気自動車)シフトや事業承継、M&A(企業の合併・買収)などを進める上で、複数の金融機関が一緒に取り組んだ方がアイデアや提供可能な支援メニューは当然増える。名古屋銀行や山梨中央銀行とのアライアンスのほか、自動車産業が盛んな地域の地銀7行で連携協定を結び、互いに情報交換を重ねている。取引先目線を大切に、広域に物事を見るようになっている。銀行が連携するのに隣接県とか地理的な距離感は関係ない。同じ課題認識を持つ金融機関同士であればアライアンスは幅広く結んでいきたい」
 ―2024年をどんな1年にしたいか。
 「最近は国内外で予測できないことが次から次へと起きている。この不透明感の中で企業経営を進めていくには、変化を恐れず新たな挑戦を続けることが大切だ。チャレンジして失敗するよりも、時代に取り残されるリスクの方がはるかに大きい。持ち株会社移行から1年が過ぎ、ソリューションの引き出しは増えている。特に銀行と並列の事業会社で主体性の意識が高まりつつある。今後、各社が独自のブランドイメージを作り上げていく段階に入る。人材教育への投資は惜しまず、付加価値を生み出し、高められる社員を増やしていきたい」
 (聞き手=経済部・金野真仁)

 しばた・ひさし 1986年、静岡銀行入行。経営企画部長、首都圏カンパニー長兼東京支店長などを経て2017年に頭取、22年から現職。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

静岡県内金融機関の記事一覧

他の追っかけを読む