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テーマ : 静岡県内金融機関

事業変革促し価値創造 FG中核企業の成長策 静岡銀行頭取・八木稔氏【聞きたい】

 昨年10月に発足した持ち株会社しずおかフィナンシャルグループ(FG)は、静岡銀行を含めたグループ連携策を成長の柱に据える。原料高、ものづくり高度化、事業承継などコロナ禍後も県内企業の課題が山積する中、静岡銀行はグループ中核企業として本業の収益力向上に努めつつ、取引先の事業変革を促して地域経済活性化、脱炭素推進に注力する。

八木稔静岡銀行頭取
八木稔静岡銀行頭取


 ―中期経営計画の中で重視することは。
 「課題解決と地域活性化、収益機会拡大を併せた『地域共創戦略』が重要。根幹は持続可能な社会、地域をどうしたら維持できるのか。DX、イノベーション、環境、生産性向上など多様な手法で解決策を考えることで、収益拡大につなげる。地域と金融機関の成長は同じ道の上にある」
 ―包括業務協定を締結した名古屋銀とは、特に輸送機器産業支援で協業を進めている。静岡県の製造業支援策をどう捉えるか。
 「ものすごく大事なことだが、これまで産業変革への対応は銀行としてできていなかった。自動車業界は100年に1度の大変革期と言われ、地域企業の影響は大きい。静岡銀でも既に専門のチームを発足させていて、将来的には組織を格上げしていきたい。経営改善や事業承継、M&A(企業の合併・買収)も含め、まずは輸送機器分野から成功事例を創出したい」
 ―地域企業高度化に向けた新たな方策は。
 「静岡県が脱炭素先進県になるためにも、環境ファイナンスは積極的に進める。今後は二酸化炭素(CO2)の測定ツールを取引先に提供する予定。CO2排出量のような非財務データを共有できれば、銀行としてもビジネスチャンスになるし、企業に幅広い提案ができると思う。スタートアップと県内企業のマッチング、商業分野でのキャッシュレス推進、デジタルによる人手不足対応も進めたい」
 ―静岡銀行の強みとは。
 「われわれの最大の基盤は長年かけて積み上げてきた地域からの信頼。FGの中で銀行がしっかりハブ(結節点)になり、グループ各社と顧客、地域をつないでいく。今後はSDGsの観点からリスクを取る考え方が重要になる。顧客に誠実に向き合いながら最新のスキル、見識を取り入れ、新たな価値を提案、創造できる人材を育てていく」
 (聞き手=高松勝)

 やぎ・みのる 1987年静岡銀入行。常務、専務、副頭取を経て2022年10月から現職。しずおかFG取締役も兼務する。静岡市駿河区出身。60歳。

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