あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 静岡県内金融機関

JAしみずのATM 詐欺防止音声で成果 振り込む直前 被害免れ

 「おじいちゃん! おばあちゃん! だまされないで!」静岡県内有数の特殊詐欺被害件数を記録している静岡市清水区で、地元金融機関がATM周辺で流す音声による被害防止の呼びかけが成果を上げている。昨夏の導入以降、実施店舗での被害はゼロ。今秋には還付金詐欺被害に遭う寸前で同区の60代女性が音声を聞き、踏みとどまった。

詐欺防止の広報音声が流れるATM=1日、静岡市清水区のJAしみず庵原支店
詐欺防止の広報音声が流れるATM=1日、静岡市清水区のJAしみず庵原支店

 清水署と連携して音声を導入しているのは、同区に本店のあるJAしみずの有度、飯田、庵原の3店舗。同署管内の特殊詐欺被害件数は2021年は県内ワースト、22年もワースト2位と深刻な状況が横たわる。
 「ちょっと待ってください!」という警察官の緊迫感漂う声で始まり、3人の子どもが「お金が戻ってくるとかお金を用意してとか言われてない?」「そういう話は絶対詐欺だよ。気を付けてね」と呼びかける。何度も録音し、目の前の高齢者に呼びかけるように仕上げた。こうした音声をATM周辺で流す取り組みは県内では珍しいという。
 今年10月下旬、すんでのところで被害を免れたケースでは、同JA庵原支店のATMで「振り込みボタン」を押す直前の60代女性が音声を耳にして何とか踏みとどまり事なきを得た。
 区役所職員を名乗る男から電話で「還付金の戻りがある。今日までです」と言われ、同支店でATMを操作。「次は振り込みボタンを押してください」と指示されたところで音声が耳に入り、われに返った。
 女性は「絶対に引っかからないと思っていた」と振り返る。還付金の内容が家庭事情に当てはまっていたこともあり、信用してしまったという。「後から考えるとおかしいことばかりだけど、優しい声で誘導し、有無を言わさないうまさがある」と舌を巻く。
 同支店の花崎功支店長は「窓口が閉まった後にATMを利用させるなど詐欺手口が巧妙化している。地域密着の金融機関として今後も警察とタッグを組み被害防止に努めたい」などと意欲を示す。
 (清水支局・大村花)

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

静岡県内金融機関の記事一覧

他の追っかけを読む