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テーマ : 浜松市

張り子 想像広がる物語 野村梨奈さん(浜松市中区)【ものづくりびと 静岡県内作家の小さな工房】

 釣り糸を垂れるクマ、座り込んでくつろぐ鹿や羊。張り子作家、野村梨奈さん(28)=浜松市中区=の作品は、胡粉[ごふん]の白さが作品の丸みを引き出し、その周りには、ゆったりとした時間が流れる。

物語性に富んだ愛らしい張り子作品
物語性に富んだ愛らしい張り子作品
野村梨奈さん
野村梨奈さん
物語性に富んだ愛らしい張り子作品
野村梨奈さん

 静岡文化芸術大でプロダクトデザインを学び、卒業後はデザイン事務所に勤めた。文房具や家具のデザインなどを担当する中、「直接お客さんに手渡すものづくりをしたいと考えるようになった」。2年前、知人から張り子を作ってほしいと依頼されたのがきっかけ。独学で始めた。
 型は粘土で成形するだけでなく、3Dプリンターも使う。「張り子は、型を作って工業製品のように量産できる。一方で、和紙を1枚ずつ貼り合わせていく手仕事の良さもある」。同じ型でも、和紙の合わせ方、絵付けによって姿形を変えていく。
 「ただ動物を作っているのではない。模型でもない」。干支[えと]物や伝統工芸品とは異なる趣。なぜこの動物なのか、この人は何をしているか、物語を作り、それぞれ説明文を用意する。
 少年がカヤックをこぐ「大航海ボウヤ」は、灯台の張り子もそばに置き、広い海原を想像してもらう。リンゴを大事に抱えた女の子は「豊作祈願ガール」。地球の上でギターを弾くウサギは「ちきゅう→うさぎ→ギター」のしりとりに。遊び心があふれる。
 屋号は、本名を入れ替えた「りなの村」。「作品は『住人』。自分の村から巣立っていくイメージ」という。豊作祈願ガールが持つリンゴは、イベント先によってご当地の産物に変える。「全都道府県にちなんだ作品を作りたい」と話す。
 =今回で終了します=

 のむら・りな 鹿児島県出身。作品をウェブサイト「りなの村」で販売するほか、県内外のクラフト市に参加する。12日に「浜松サザンクロスほしの市」(浜松市中区)、4月8、9日に「ARTS&CRAFT静岡手創り市」(静岡市葵区)に出店する。

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