あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 浜松市

盛り土 衛星データから検知 浜松市、市内企業など AI技術確立へ 秋まで実証実験

 危険な盛り土による災害を防ぐため、浜松市と建設総合コンサルタントのフジヤマ(同市中央区)、人工衛星開発のシンスペクティブ(東京)が、衛星データと人工知能(AI)で盛り土などの土地改変箇所を検出するモニタリング技術の実証実験に取り組んでいる。月1~2回程度の衛星データを基に、地図上で地表の高度変位をカラーで表示し、形状などから人為的な改変が疑われる箇所を見つけ出す。

盛り土の検出技術の確立に取り組む山浦篤DX推進室長=3月中旬、浜松市中央区のフジヤマ
盛り土の検出技術の確立に取り組む山浦篤DX推進室長=3月中旬、浜松市中央区のフジヤマ

 人工衛星からの電波(開口レーダー)を反射させ、植生の有無にかかわらず数ミリ単位で地表の高度を測れる「SAR衛星」のデータを活用する。地図に高度の変位があった場所を示し、地点を選択すると過去10年ほどの推移グラフや植生の変化が確認できる。
 フジヤマの地理情報システムと組み合わせれば、3D点群データで変化を視覚的に調べたり、危険箇所の崩落シミュレーションを表示したりもできる。
 実験の主眼はAIによる検出機能の向上で、隆起沈降や浸食とは違う盛り土などによる不自然な高度の変化、伐採の痕跡などを、データ分析から自動的に割り出す仕組みを探っている。市は検出された地点で現地確認や監視を行い、精度を検証する。実証実験の期間は2023年9月から今秋まで。
 県内では、熱海市や浜松市で盛り土に起因する災害が相次いだ。行政にとって地権者の協力が得られない場合の調査や、広大な山林で土地改変の兆候を見抜く方法の確立が課題になっている。フジヤマの山浦篤DX推進室長は「市が必要とする性能とコスト面の折り合いを考慮しながら、市民の安全につながる仕組みを構築できれば」と話した。
 (社会部・宮坂武司)

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

浜松市の記事一覧

他の追っかけを読む