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テーマ : 浜松市

どうする?浜松城公園 「文化財保護」が壁 要望に追い付かず 凸凹道に古木 「管理に力を」と市民の声

 凹凸がある園路、老朽化が進む樹木―。昨年の大河ドラマ放送を機に来園者が増えている浜松城公園(浜松市中央区)を巡り、地元の市民団体がバリアフリーの促進や樹木管理の見直しを市に求めている。一方、文化財の価値を有する「城跡公園」ならではの事情により、市は慎重な対応を迫られ、利用者の要望に追い付いていないのが現状だ。

浜松城天守閣前の広場は一部石がむき出しの状態で凹凸が目立つ。大石吉宏さん(左)は「安全面での配慮が必要だ」と訴える=3月上旬、浜松市中央区の浜松城公園
浜松城天守閣前の広場は一部石がむき出しの状態で凹凸が目立つ。大石吉宏さん(左)は「安全面での配慮が必要だ」と訴える=3月上旬、浜松市中央区の浜松城公園

 「政令指定都市の看板公園として、管理に力を入れてほしい」。県西部の市民団体「120学会」の大石吉宏さん(83)=同区=は浜松城を背に残念がる。天守閣前の広場は一部で石がむき出しになり、お年寄りらが歩くのは危険が伴う。花見の名所で知られる本丸のソメイヨシノは古木が多く、一部は腐朽が進む。
 三方原台地の段丘に位置する同公園は高低差が最大で約30メートルあり、階段や坂が多いのが特徴だ。同団体は昨年末、公園のバリアフリー対策などを求める要望書を市に提出した。市は文書で「園路や階段などの構造について対応に苦慮している」と課題を説明した。
 市文化財課によると、地中に史跡が存在する可能性があるとして、公園の大部分が開発工事の際に調整が必要になる「埋蔵文化財包蔵地」に指定されている。そのため掘削を伴う整地や植樹には工事手法の確認などの細かな手続きが必要で、文化財に影響する場合は施工計画を変更する。城の中枢一帯は地中を掘削しない工事でも同様の手続きを踏む必要があり、慎重な対応が求められるという。
 市は日本庭園や天守閣周辺で劣化が進んでいた園路や手すりを修繕したが、いずれも地面の掘削を要しない範囲で行われた。予算の制限もあり「文化財を傷つけるリスクを負うよりも、修復が必要な箇所を優先的に進めている」(市公園管理事務所)としている。
 2014年策定の浜松城公園長期整備構想では園路が歩きにくいなどの意見が市民から寄せられていた。同事務所の担当者は「利用者の安全面を第一に、文化財保護の視点も必要。文化財の価値を損なわない範囲での対応を模索し、改善を図りたい」と話す。
 (浜松総局・池田悠太郎)

 

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