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テーマ : 浜松市

大自在(4月8日)他山の石

 近所の桜が満開だ。温暖化で年々開花が早まっている印象だったが、ことしは平年より遅め。各地で行われている入学式とタイミングが合い、新入生や保護者には印象深い光景になっていることだろう。
 入学式や入社式には学校長や経営者の式辞がつきもの。自分の入学・入社式の式辞がどんな内容だったか、覚えている人は少数派だろうが、中には人生の糧になる金言に出会えることもある。
 述べる側も知恵を絞っているに違いない。相手の心に響く言葉を自分で考え出せればそれに越したことはないが、なかなか難しい。そんな時は故事や著名人の名言を借りて思いを伝えるのも手だ。
 語録が式辞やあいさつでよく引用される名経営者に、浜松市名誉市民でホンダ創業者の故本田宗一郎さんがいる。「成功は99%の失敗に支えられた1%である」「会社のために働くな。自分のために働け」など現代に通じる名言が残る。
 本田さんは差別を「諸悪の根源」と嫌ったことでも知られる。ホンダは今も社の基本理念に、互いの違いを認め尊重する「平等」を掲げている。川勝平太知事が県の新規採用職員への訓示で述べた「職業差別」と受け取れる発言を、本田さんが聞いたらどう思っただろう。
 知事は「県職員は常に知性を磨き、感性を豊かにせよ」と強調したかったようだが、新採職員の記憶に残るのは、知事辞職に至る一連の騒動になるかもしれない。巻き込まれた新採職員が「舌禍によるトップ辞職」で胸に抱いた希望を失うことなく、むしろ他山の石として成長するよう願うばかりだ。

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