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テーマ : 浜松市

静岡県内各地にゴジラの“足跡” 最新作、アカデミー賞ノミネート 映画祭にぎわい、静岡県勢怪獣も

 3月10日(日本時間11日)に授賞式が開かれる第96回米アカデミー賞の視覚効果賞に、浜松市でロケが行われた「ゴジラ―1・0(マイナスワン)」がノミネートされた。邦画史上初の快挙。静岡県内はこれまで多くのゴジラ作品の撮影地となり、劇中の舞台にもなってきた。ゴジラ怪獣の中には県内で生まれたものも。アカデミー賞発表を前に、ゴジラと静岡の縁を追った。
全国東宝系で公開中の「ゴジラ-1.0」の一場面 (c)2023 TOHO CO.,LTD.
 1954年11月、東宝が制作した怪獣映画「ゴジラ」が公開された。同年7月27日の静岡新聞夕刊では「ビル程高い怪物 秋の大作『ゴジラ』」と題して「海底数千呎(フィート)に棲息していたものが、水爆実験によって、生活環境を破壊されたことから日本に上陸」と紹介している。ゴジラ誕生の設定は同年3月のビキニ環礁水爆実験と第五福竜丸の被ばくを反映したという。
初代「ゴジラ」の内容を紹介する静岡新聞紙面(1954年7月27日夕刊)
 水爆実験によるゴジラ誕生という設定は後続作にも引き継がれ、2001年公開のシリーズ第25作「ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃」では第五福竜丸とのつながりから焼津市がゴジラ上陸地として選ばれた。
 世相を反映するというコンセプトも継承された。1971年公開の「ゴジラ対へドラ」で初登場したヘドラは、富士市田子の浦に生まれた。60年代から80年代初頭まで続いた田子の浦のヘドロ公害問題を怪獣のデザインと設定に投影し、水爆大怪獣ゴジラに匹敵する人類を滅ぼしかねない脅威として描いた。
県内 ゴジラMAP
 街を破壊する怪獣が生む恐怖と一種の爽快感はゴジラ映画の魅力の一つ。「ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃」では、焼津市に上陸したゴジラが旧清水市に移動し市街地を容赦なく壊滅させた。新しいランドマークは格好の標的となる。99年開業のエスパルスドリームプラザも怪獣王の餌食となり、撮影時はエキストラとして集まった市民ら約200人が逃げ回った。同プラザ直営事業部の坪井充次長(48)は当時を振り返り「ドリプラが壊されちゃう、と素朴に思った。今ならもっと宣伝に使っていた」と惜しんだ。
「ゴジラ-1・0」のロケ地としてPR活動が行われた浜名湖周辺=浜松市浜名区の浜名湖サービスエリア
 日米が誇るスター怪獣による世紀の決闘が初めて行われたのは熱海市だった。62年公開の「キングコング対ゴジラ」では劇中で59年にできたばかりの熱海城が壊された。
 同市で同作を上映したいという有志が集まり、2018年に「熱海怪獣映画祭」が始まった。毎秋の開催に全国から特撮ファンが集まる。運営法人の村岡亮副代表(52)は「シリーズ第2作『ゴジラの逆襲』(1955年)は、原作者の香山滋さんが熱海の温泉旅館で書いた」と話し、同市と怪獣映画の関係の深さを強調した。
 最新作「ゴジラ―1・0」は浜松市の遠州灘と浜名湖でロケが行われた。東名高速道の浜名湖サービスエリア敷地内には等身大ゴジラの足跡が刻まれている。アカデミー賞のノミネート後には、山崎貴監督が映画の秘話を語るトークショーを浜名湖周辺で開いた。
 ロケやイベントを支援した浜松フィルムコミッションの原田憲治室長(53)は「候補作の中で予算規模が小さい『マイナスワン』がオスカーを取れば、中小企業が大手に勝ったようなものだ」と受賞への期待を込めた。
 (教育文化部・マコーリー碧水)
「ゴジラ-1・0」のロケ地としてPR活動が行われた浜名湖周辺=浜松市浜名区の浜名湖サービスエリア

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