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議員の甘さ、計画へ影響懸念 御前崎市の保育事業巡り正副議長辞職、来春市議選見据えた主導権争いの見方も

 御前崎市の保育事業を巡り、市議会議長らが関連予算を議決したにもかかわらず市に対して計画変更を求めた問題行動は、29日に開かれた6月定例会最終本会議で正副議長の正式辞職と調査特別委員会の設置に発展した。市民や執行部からは行政監視の役割を担う議員の甘さや事業計画への影響を懸念する声が上がる。一方、一連の議員同士の“内紛”は来春の市議選を見据えた主導権争いとの見方もある。

御前崎・白羽地区の幼保こども園の統合再編計画は、白羽幼稚園を改修増築し、民営こども園を設立する=御前崎市の白羽幼稚園
御前崎・白羽地区の幼保こども園の統合再編計画は、白羽幼稚園を改修増築し、民営こども園を設立する=御前崎市の白羽幼稚園


 「計画自体がつぶれかねない」。ある市幹部は予算議決後に議長を含む市議7人から運営方法や実施スケジュール変更を求められことで、事業への信頼性が揺らぐことを心配する。同計画は御前崎・白羽地区の幼保こども園3園を統合し、民設民営の認定こども園を新設する。7月上旬から事業者の公募を始める予定だが、「市と市議会が一枚岩になっていないと見られれば手を挙げる業者はいなくなってしまう」と漏らす。
 一方、ある中堅議員は今回の騒動について来春の任期満了に伴う市長選と市議選を見据えた動きと見る。「計画変更を求めた市議は市長との距離の近さをアピールしたかったのではないか」と推測する。
 御前崎・白羽地区の保育施設に子どもを通わせる40代父親は「市議会は果たして真剣に予算審議をしたのか。市民の代表たる自覚が足りないのでは」と話し、「これ以上、子どもの未来を預かる保育事業を争いの材料にしてほしくない」と注文した。

 記者の目 問われる議員の存在意義
 民主主義の基盤である二元代表制において、行政執行部の事業計画案や税金使途の妥当性をチェックするのが議会の責務だ。しかし、予算議決後に保育事業の計画見直しを市長室に出向いて求めた市議からは「事業内容を勘違いしていた」などと無責任な言葉が相次いだ。これは正副議長が役職を辞して解決する話ではない。議員としての存在意義が問われている。
 市議らは住民の意見を市長に伝えたと説明するが、本当に民意を市の施策に反映したいのであれば、密室ではなく議事録が残る公の場で議論すべきだ。3月末の予算審議の際、真剣に議論を交わしていたのかも疑問に思えてくる。
 さらに、29日の6月定例会最終本会議で行われた議長選では白票が6票もあった。市議は当選した選挙の際、有権者に対して投票行動の重要性を訴えてきた立場ではないのか。市民の負託を受け、議席を与えられている自覚を御前崎市議会からは感じられない。
 市民の信頼回復に向け、市議会は議員の職責を再認識することから始めてほしい。有権者も市議会が機能しているか監視する姿勢が大切だ。
 (御前崎支局・市川幹人)

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