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大自在(4月24日)「シルバー」

 選挙のたびに目にする「シルバー民主主義」。投票率が高い高齢者向けの政策が優先されてしまうことだ。少子高齢化と若者の投票率の低さが招くといわれる。きのうは、衆参5補欠選挙と統一地方選の後半戦が投開票された。
 シルバーが高齢者を表すようになったのは、1970年頃からという。50年前の73年。伊豆箱根鉄道と旧国鉄が、高齢者らのために車両に導入した灰(銀)色の優先席を「シルバーシート」と名付け、普及した。
 シルバー人材センターやシルバー川柳などはなじみ深い。日本語にも長年培った技や作品を形容する「いぶし銀」という言葉がある。「銀髪」と聞けば、渋い中高年をイメージする人もいるだろう。
 「銀髪」の似合う日本サッカー界のレジェンド、三浦知良選手がポルトガルで初出場した。プロ38年目の56歳。「正直、僕の年齢から考えるとあり得ない」と意欲を燃やす挑戦だ。
 年齢や体力の衰えにあらがい続ける姿には、称賛するしかない。三浦選手の生きざまを思うと、ヘミングウェーの「老人と海」の主人公サンチャゴが浮かんだ。84日間、一匹の魚も捕れなかった老いた漁師。周囲はもうだめだというが、彼の目はまだ不屈の光をたたえ、大物を狙って小舟で遠くの海へと向かう。
 70年以上前の作品である。今は、サンチャゴのように、誇りや生きがいだけでは乗り切れないだろう。経済と環境の両立、デジタル技術活用、多様性の包摂など。若者も高齢者もさまざまなことが求められる。複雑で困難な時代だからこそ、政治の役割は大きい。

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