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静岡県議選 浜松市天竜区選挙区、「強制合区」の可能性 人口減で単独区維持困難か

 静岡県議選の浜松市天竜区選挙区(定数1)が人口減少で地方自治法に定められた「強制合区」規定の基準を下回り、次の選挙で単独選挙区を維持できない可能性が高いことが、25日までの県などへの取材で分かった。浜松市域の選挙区は2024年1月1日に7行政区から3行政区への移行後、速やかな選挙区の改定が求められ、県の関連条例の改正手続きが必要になる。今年6月下旬にも今期の初会合が予定される県議会の選挙区等調査検討委員会で議論される見通しだ。

2024年1月1日の行政区変更後の区割り
2024年1月1日の行政区変更後の区割り

 都道府県議の選挙区を定めた公職選挙法などでは、市区町村を選挙区の最小単位としている。「選挙区人口は議員1人当たりの人口の半数以上」との規定があり、当該区域の人口を議員1人当たりの人口で割った「配当基数」が0・5以上を満たさない場合、隣接する市区町村との合区を求められる。
 県選管によると、新たに市区町村の区域変更があった場合、4年任期の通常選挙を待たずに、速やかに選挙区や定数を変更するとの公職選挙法施行令の規定がある。浜松市の場合は3行政区に移行後の24年1月中旬にも告示される同年1月1日時点の住民基本台帳人口を基に配当基数を再算出し、その際、浜松市域の県議の定数計15に対する天竜区の配当基数が0・5を下回れば、強制合区の対象になるという。
 県や市が公表している住民基本台帳人口から試算すると、22年8月1日時点で浜松市域(7選挙区、定数計15)の県議1人当たりの人口5万2940・4人に対し、天竜区の人口は2万6457人で配当基数は0・4997と0・5を下回った。その後も減少が続き、23年6月1日時点で0・4906にまで低下した。正式には24年1月1日時点の住民基本台帳人口が基となるが、現状の傾向のまま経過すれば、天竜区は隣接する浜名区との合区が濃厚となる。
 前期の県議会選挙区等調査検討委(19年6月~22年6月)は、23年4月県議選に向けて選挙区や定数改定を議論した結果、定数は変えなかった。20年の国勢調査人口に基づいた天竜区の配当基数は0・5002とわずかに基準を上回る状況で、定数削減すると配当基数が0・5を下回ると試算された。当時、最終局面にあった浜松市の行政区再編協議に影響を与える懸念があり、定数を維持した経緯がある。
 浜松市の区域変更に伴う選挙区改定とは別に、27年4月の次期県議選については、25年に集計される国勢調査人口を基に県内全選挙区の定数や選挙区に関する検討が行われる見通し。

行政区再編で市内定数再配当 所属変更なら くじ引き
 浜松市の区域変更に伴う県議選の選挙区改定では、定数の調整を巡ってくじ引きが行われる可能性もある。県内では、2005年4月に、政令市移行に伴い静岡市で所属変更のくじ引きが実施されたことがあり、浜松市の行政区再編に伴って実施されれば約19年ぶりとなる。
 24年1月1日時点の住民基本台帳人口を基に、同市域の新たな選挙区の定数が再算出される。現時点で浜松市域の現職県議15人の居住地を基にした3行政区別の議員数は、中央区11、浜名区3、天竜区1。新定数がこれと異なる場合、定数を上回る選挙区の現職の所属選挙区を変更する調整が行われ、所属を変更する議員をくじ引きで決める。変更は次の通常選挙までの暫定的な措置で活動は制限されない。

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