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テーマ : 議会しずおか

熱海市の宿泊税 条例成立、来年4月から「持続可能な観光地に」

 熱海市が2025年4月から静岡県内初導入を目指す宿泊税の条例案が14日、市議会2月定例会最終本会議で可決、成立した。人口減と高齢化の影響で財政状況が厳しさを増す中、「持続可能な観光地熱海のために宿泊税は必要」との結論に至った。コロナ禍や土石流対応の影響による議論の停滞を乗り越え、新たな一歩を踏み出す関係者は約1年後に迫った宿泊税導入への課題を口にした。

熱海市の海岸沿いに立ち並ぶ宿泊施設。2025年4月から宿泊税の徴収が開始される=14日午後、同市
熱海市の海岸沿いに立ち並ぶ宿泊施設。2025年4月から宿泊税の徴収が開始される=14日午後、同市

 熱海の宿泊税は斉藤栄市長が選挙公約に掲げた肝いり施策。市観光基本計画の中核戦略に位置づけ、2018年に本格的な議論を始めた。斉藤市長は条例成立後、記者団に「ようやく承認をいただき、本当にうれしい」と所感を述べた。宿泊事業者との連携強化や税制度の周知活動に注力する考えを示し「もう一度来たいと思える満足度の高い観光地を目指す」と語った。
 市内約360のホテル・旅館や民泊施設が特別徴収義務者として宿泊者1人につき200円を徴収する。既存の入湯税(150円)に加算される形となる税の新設に、宿泊業界の現場からは一時、「客から敬遠される」「使途が不明確」などと異論が噴出した。
 こうした懸念を踏まえ、市との調整に奔走した熱海温泉ホテル旅館協同組合の森田金清理事長は「いろいろな意見があり、まとめるのに1年以上かかった。時間と労力を費やし、ここまできた」と振り返った。宿泊客に対して「プラス200円の意味合いをきちんと説明しなければいけない。ソフトとハード両面の充実が必要」と指摘した。
 市は24年度、宿泊税の財源を基に観光振興事業を展開する熱海型DMO(観光地経営組織)を設立する。具体的な体制の構築はこれからで、市の担当者は「急ピッチで作業を進める」と気を引き締めた。
(熱海支局・鈴木文之、伊東支局・白柳一樹)

 宿泊税 地方自治体が条例を定め、総務相の同意を得て新設する「法定外目的税」の一つ。宿泊事業者が宿泊客から特別徴収し、自治体に納付する。東京都、大阪府、京都市など全国九つの自治体が導入済みで、税額は100~千円と各自治体で異なる。熱海市の条例では、市内の宿泊施設で1人1泊200円を徴収すると規定。12歳未満や学校主催の修学旅行生などは課税免除とする。市は7億円の財源確保を見込み、観光振興に使途を限定する。

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