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殿の縁起物で良い年に! 金陀美具足、洋時計…大河に登場、家康の愛用品並ぶ 久能山東照宮博物館(静岡市)見どころ紹介

 徳川家康が祭られている久能山東照宮博物館(静岡市駿河区)で2024年3月10日まで、家康ゆかりの品など約50点が並ぶ新春特別展示が行われている。黄金の「金陀美具足(きんだみぐそく)」をはじめ、大河ドラマ「どうする家康」で描かれた家康愛用品を鑑賞できる。学芸員の宮城島由貴さんに実物の見どころを聞いた。
金陀美具足
 金陀美具足は永禄3(1560)年、今川の下にあった家康公(当時元康)が、敵対していた織田により補給路を断たれた大高城に兵糧入れした際に着用していたと伝わる甲冑(かっちゅう)。黄金の美しさはもちろんですが、他の甲冑に比べて細身な造りが特徴です。恰幅(かっぷく)の良いイメージの強い家康公ですが、若かりし頃は意外とスリムだったのかもしれません。
※金陀美具足の展示は1月8日まで。
金陀美具足(久能山東照宮博物館蔵)
歯朶具足
 歯朶(しだ)具足は慶長5(1600)年の関ケ原の戦いで着用し、大坂の陣でも身近に置いて勝利を手にしたことから、吉祥の鎧(よろい)とされています。名前の由来は、兜(かぶと)に羊歯(しだ)植物の葉を模した革製の飾りの前立(まえだて)が付いていること。ただ、兜には飾りを固定する「角本(つのもと)」がありません。そのため、この具足着用の際には、側近が前立をささげ持っていたという説もあります。大将らしく落ち着いた黒一色の色合いと、実戦を強く意識した重厚な造りが鑑賞ポイントです。
歯朶具足(久能山東照宮博物館蔵)
太刀「無銘 光世作」
 家康公の愛刀として伝来している刀です。死の2日前には罪人の試し切りで切れ味が良かったことから、子孫鎮護の刀とすると伝えたと言われています。社伝によると、臨終の際には、不穏な動きがあった大坂方面に切先を向けておくよう命じました。
 こうした逸話から知名度も人気も高いのですが、いまだ謎多き太刀でもあります。鎌倉時代中期の作とみられますが、いつから、なぜ家康公が所持していたのかは不明。不思議な名前についても、平安時代の武将坂上田村麻呂の愛刀「ソハヤノツルキ」の写しであることを伝える説などがありますが、はっきりとは分かっていません。
 太刀にしては刀身が短く、先端まで身幅が広く、豪壮な姿が特徴です。太刀の中には2キログラム超のものもある中、ソハヤは約670グラム。やや大きめのペットボトル飲料(600ミリリットル)より少し重いくらいのイメージです。重そうに見える半面、実は薄く、実用的な刀と言えます。直線的な刃文(直刃)が見どころです。
無銘 光世作(ソハヤノツルキ)(久能山東照宮博物館蔵)
洋時計
 慶長14(1609)年、当時スペイン領だったフィリピン総督のドン・ロドリゴらの帆船が台風の影響で現千葉県沖に漂着。一行に対する海難救助と厚遇のお礼として、慶長16(1611)年にスペイン国王から家康に贈られたのが洋時計とされています。
 真ちゅう製で箱形のゼンマイ式時計。時刻、アラーム、鐘の音をセットするための鍵穴が計三つあります。実物の調査によると、アラームの部品の消耗が激しく、家康公はアラーム機能を愛用していたのではと考えられています。当時の日本では確立されていなかった遠近法により、西洋の城や風景が描かれた本体側面が鑑賞ポイントです。展示会場では、以前の調査の際に録音した本物の鐘の音を流しています。本物と大河ドラマで使用したレプリカの両方を展示しています。
洋時計(レプリカ)(久能山東照宮博物館蔵)
 久能山東照宮博物館
 
無休。開館時間は1月1~3日は午前8時~午後5時。それ以外は午前9時~午後5時。入館料は高校生以上400円、小中学生150円、未就学児無料。

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