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テーマ : 政治しずおか

生態系会議が初会合 環境保全策の協議開始【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線工事に伴う南アルプスの生態系への影響や環境保全策を協議する国土交通省専門家会議の初会合が8日午前、都内で始まった。生態系に大きな影響を及ぼすとみられる地下水位の低下や沢枯れなどの問題について国内の専門家8人が有効な対策を取りまとめ、リニア事業主体のJR東海を指導するのが目的。議論がかみ合わず、膠着(こうちゃく)状態が続く県とJR東海の協議の打開を目指す。

リニア工事による南アルプスの生態系への影響について議論する国土交通省専門家会議委員ら=8日午前、都内
リニア工事による南アルプスの生態系への影響について議論する国土交通省専門家会議委員ら=8日午前、都内

 委員の互選で座長に、北海道・釧路湿原の環境保全研究などに取り組んできた中村太士北海道大教授(生態系管理学)を選出した。中村座長は「難しい問題が山積しているが、皆さんの知恵をもらい、この会を運営していきたい」と述べた。
 事務局の国交省は会議のスケジュール案を示し、夏から秋にかけて関係者のヒアリングや現地視察を行い、論点を整理した上で議論を進めるとした。事前に委員に聞いた意見も報告した。県有識者会議の委員も務める静岡淡水魚研究会長の板井隆彦委員(動物生態学)は昆虫や鳥類の生態系の専門家を委員に加えるよう提案した。
 県からは難波喬司県理事、JR東海からは宇野護副社長らがオブザーバーとして参加した。
 リニアの東京―名古屋間の2027年開業の遅れが確実となる中、事態打開へ岸田文雄首相自ら開催を表明した肝いりの会議。国交省専門家会議では水資源を巡る問題を先行して協議した。
 県は18年11月、JR東海が「トンネル湧水の全量戻し」を表明したことを受け、県有識者会議の「生物多様性」と「地質構造・水資源」の二つの専門部会を設置した。生態系への影響については生物多様性専門部会で協議を続けているが、JR東海が提示した水資源減少回避策や環境保全策について同社と部会委員との間で認識に隔たりがあり、議論が進んでいない。

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