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浜岡原発「基準に適合するよう」 中部電力・林社長 一問一答

 中部電力の林欣吾社長は静岡新聞社のインタビューで、電力安定供給に向けて浜岡原発の再稼働が必要との認識を示し、安全対策工事などへの考えを語った。主な一問一答は次の通り。

中部電力浜岡原発=2023年11月8日、御前崎市佐倉(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
中部電力浜岡原発=2023年11月8日、御前崎市佐倉(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 ―9月に原子力規制委員会の新規制基準適合性審査で、基準地震動が決まったことへの受け止めは。
 「(再稼働に向けて)大きな前進だ。2014年2月に4号機の審査を申請し、ようやく建屋や設備などのプラント審査の前提となる耐震設計数値が決まった。津波に関する審査は、最も影響が大きいプレート間地震(南海トラフ巨大地震)の最大津波高は22・7メートルでおおむね了承されたので、設備が基準に適合するように進めていく。具体策は基準津波が確定してからだが、防潮堤についてはかさ上げで大丈夫なのかどうかも含めてこれから検討していく。浜岡原発の敷地内にある断層が活断層でないことも分かりやすく説明していく」
 ―再稼働の必要性をどう訴えていくか。
 「電力の安定供給やカーボンニュートラルの観点から原子力発電は必要だ。そのためには、安全性向上に向けた対策の実施状況を地元にしっかりと説明し、理解してもらうことが重要だと考えている。11年の停止時に海水流入トラブルがあった5号機は機器レベルの健全性評価が終了した。保管するデータを拡充し、具体的な機器の補修点検などを精査していく。6号機は供給計画上では保持しているが、具体的には現段階では見通せない」
 ―60年を超える原発の運転延長を可能にした国の判断をどう評価するか。
 「安全第一で技術的に問題がないことを前提に既存原発を最大限活用する考え方は重要であると思う。元々、浜岡原発は東海地震の震源域に立地していることは分かっていたため、最先端の知見を取り入れて安全対策を講じてきた。今後も安全対策やメンテナンスに万全を期し、必要な工事には投資していく」
 ―廃止措置中の1、2号機は24年度から原子炉領域解体に着手するが、廃棄物をどう処理していくか。
 「廃炉で出た放射性廃棄物は放射能汚染レベルに応じて高い順でL1~3に分類される。しかし、処分地は未定で、処分方法も含めて原子力事業者全体で検討していく必要がある。放射能レベルが極めて低く一般産業廃棄物として扱えるクリアランス物についてはグレーチング(側溝のふた)に加工し、浜岡原発だけでなくグループ会社でも使用を始めた。利用実績を積み重ねて理解を広めたい」
 (聞き手=東京支社・関本豪、御前崎支局・市川幹人)

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