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社説(7月22日)御前崎市議会 混乱 総点検で不信の払拭を

 御前崎市議会が2月定例会で議決した市内こども園の再編計画の予算について、複数の市議が水面下で市長に計画変更を働きかけていたことが発覚し、働きかけに加わっていた当時の正副議長が辞任する事態に発展した。
 なぜ、議会の長をはじめとする市議が自分たちで決めた内容を覆そうとしたのか。市議会が立ち上げた調査特別委員会で原因を徹底検証し、有権者にきちんと説明しなければならない。
 計画では、市立幼稚園、保育園、こども園の3園を統合し、民間が運営する。将来の少子化と財政不安に対応するため、民間活力を利用しながら、子供たちによりよい教育を受けてもらうために決断した重要施策だ。
 問題は主に二つの側面がある。一つは、住民アンケートや議会への説明といった手順を重ねた政策決定の流れをゆがめようとしたことだ。
 2月定例会で結論が出てわずか数カ月後の5月末、定数15の半数近い7人の市議が、「市民の声を届けるため」と市長室を訪れ、スケジュールの見直しを求めたのは不可解である。ルールを無視した口利き依頼などはなかったか。
 もう一つは、議会自らの存在意義の否定だ。可決した関連予算は、市民の負託を受けた市議たちが議論を重ね、下した結論のはずである。
 わずかな期間で態度を180度変えるとは、何と議決の軽いことかと言わざるを得ない。予算を適切に審査していたのか改めて検証が求められよう。
 市議会調査特別委員会は、働きかけを行った市議を除くメンバーで経緯を調査し、9月ごろまでに報告書を公表する方針という。
 問題の重大性を考えれば、透明性や公平性を担保するため、第三者を交えて議会内に根深い問題がないかを調査する必要はないだろうか。
 当該市議を、ただ糾弾するのではなく、過去に類似したケースがなかったかや、要望を受けた当局の対応など、政策決定の問題点を、総点検して全てを明らかにしない限り、有権者の不信は払拭されない。
 4月の統一地方選で見られたように、全国的に地方は議員のなり手不足や低投票率に歯止めがかかっていない。地方自治が揺らいでいる。
 議会は本来、首長ら執行機関が適切に行政運営を行っているかを監視するのが役割の一つだ。地域の多様な声、特に弱い立場の声なき声をすくい上げて、行政に届けることも大切な役目である。
 地方議会が機能をきちんと果たすために私たち有権者の側も関心を持って、議員たちの活動を見守っていく必要がある。

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