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御前崎でアカウミガメ産卵減 今季29回、過去3番目の少なさ

 御前崎市の海岸で5~8月までに確認された絶滅危惧種アカウミガメの産卵回数が今季は29回で、調査を始めた1981年以降、過去3番目に少なかったことが31日、市教委への取材で分かった。ここ数年は全国的に産卵回数が激減し、専門家は「砂浜保全を前提にした産卵環境の改善が必要」と指摘する。

御前崎市に近年上陸したアカウミガメの産卵回数と産卵個数の推移
御前崎市に近年上陸したアカウミガメの産卵回数と産卵個数の推移


 同市は毎年5~8月をアカウミガメの産卵調査期間として定める。アカウミガメは夜間に砂浜に穴を掘って産卵するため、市から委託を受けた保護監視員が毎朝、砂浜に残った足跡などを手がかりに産卵の有無や上陸回数などを調べている。市教委によると、今季は砂浜を掘り起こして保護した卵は3138個で、過去3番目に少なかった。
 近年、同市では産卵回数が減少傾向にある。2012年は277回を記録したが、18年から100回を下回り、19年は25回、21年は26回だった。保護監視員の良知正美さん(82)は「毎年のように砂浜の浸食が進み、卵を産み落とす場所が無いため海に戻ってしまう親亀もいる」と話す。
 御前崎市と同じようにアカウミガメの産卵地として海岸の一部が国天然記念物に指定されている徳島県美波町では、以前は30回以上あった産卵回数が今季は確認されない異常事態に陥っている。
 ウミガメの生態繁殖に詳しい高知大総合研究センターの斉藤知己教授(三島市出身)は「保護活動によってウミガメの個体数が増えても、砂浜が削られてしまえば産卵場所に困る。長期的な視点で海岸砂浜の環境整備に取り組むことも重要だ」と述べた。
 (御前崎支局・市川幹人)

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