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テーマ : 浜松市

ミカン栽培、地域交流支え64年 静岡県内最後、有線放送電話3月末終了

 静岡県内最後の有線放送電話施設を有する浜松市浜名区三ケ日町のJAみっかびが3月末で、有線放送のサービスを終了する。1960年に開局し、ミカン栽培に関する注意喚起などで「三ケ日みかん」のブランド力向上にも貢献した。スマートフォンの普及による社会情勢の変化やシステムの老朽化などに伴い、64年間の歴史に幕を下ろす。

1960年代の交換室の様子。夜間の電話も対応していた(JAみっかび提供)
1960年代の交換室の様子。夜間の電話も対応していた(JAみっかび提供)
有線放送の収録を行う三ケ日町郷土を語る会の河西正和会長=13日午後、浜松市浜名区三ケ日町
有線放送の収録を行う三ケ日町郷土を語る会の河西正和会長=13日午後、浜松市浜名区三ケ日町
1960年代の交換室の様子。夜間の電話も対応していた(JAみっかび提供)
有線放送の収録を行う三ケ日町郷土を語る会の河西正和会長=13日午後、浜松市浜名区三ケ日町

 開局当初は住民間の通話機能が中心だった。60年代には交換手が12人いて、夜間の電話にも対応したという。76年から自主制作番組の放送を開始し、町内行事や学校のお知らせ、老若男女の声を伝えることで地域の一体感を醸成してきた。全国有線放送番組コンクールでは、「お知らせ部門」「企画番組部門」で計3回最優秀賞に輝いている。
 ミカン開花前の消毒や肥料散布、摘果などの呼びかけを行うことで、農家の意識高揚も図った。同JAによると、営農情報のイントロ曲が流れると、農家が畑に向かうほど浸透していたという。ピーク時の90年代には町内約3千世帯が有線放送を利用し、現在も約2千世帯が登録している。
 13日には、毎月第3日曜に放送する番組「ふるさと文化財ウオッチング」の最終収録が行われ、三ケ日町郷土を語る会の河西正和会長(83)が同会の歴史を振り返った。河西会長は「毎月楽しみにしてくれる人がいたので、寂しい気持ちもある」と吐露した。
 JAは4月以降、SNSなどを活用した情報発信を強化するとともに、住民を対象にしたスマホ教室なども展開していく。同JA組織広報課のアナウンサー石原奈緒さん(35)は「長年続いてきた有線の仕事に携われて光栄だった。取材などでお世話になった皆さんに感謝したい」と話した。
 (細江支局・大石真聖)

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