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電機労組「ベア1万円以上を」 春闘、妥結容認水準で調整 物価高踏まえ 昨年比倍増

 日立製作所など電機各社の労働組合でつくる電機連合が2024年春闘で、基本給を底上げするベースアップ(ベア)の妥結を受け入れる最低水準を月額1万円以上とする方向で最終調整していることが9日、分かった。物価高を踏まえ、5千円以上とした昨年から倍に増やす。11日に正式決定し、回答が最低水準を下回る場合はストライキも辞さない姿勢で臨む。

 各社の労働組合は月額1万3千円を経営側に統一要求しており、13日の集中回答日に向けて交渉は大詰めを迎える。ただ東芝の23年4~12月期連結純損益は1070億円の赤字となるなど足元の業績は各社で明暗が分かれており、経営側の判断が焦点となる。
 昨年の春闘では最低水準を5千円、統一要求額を7千円とし、経営側から満額回答が相次いだ。今年の電機連合の要求額は比較可能な1998年以降で過去最高となっており、年間一時金(ボーナス)も日立労組が6・4カ月分、三菱電機の労組が6・3カ月分を要求。いずれも昨年を超えており、物価高を上回る賃上げに期待がかかる。
 他の業界でも過去を上回る水準で交渉が進む。自動車業界では、ホンダが先月21日、賃上げとボーナスの要求に過去最高水準で応じると回答。マツダも過去最高の賃上げを既に回答し、ボーナスも5・6カ月分の要求に満額で応じている。
 日本航空も33年ぶりの高い水準でベアを実施すると回答しており、経営側も賃上げを人材確保などにつなげたい考えだ。ただ中小や地方の企業にまで賃上げが波及するかどうかが課題で、コスト上昇分を価格に転嫁する動きがどこまで進むかが注目される。

 春闘 企業の経営側と労働組合が毎年春、賃金水準を中心として働く条件について話し合う団体交渉。労組の全国中央組織である連合は「春季生活闘争」を正式名称としている。電機や自動車の大手は労組が毎年2月半ばごろに春闘の要求書を経営側に提出。3月中旬に集中回答日を迎える。中小企業の多くは大手の後に回答が続く。好業績の企業は早めに決着するが、経営が厳しいと労使が折り合わず、交渉が長引く場合もある。

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