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EV次世代電池 開発強化 日本勢 早期量産化、技術刷新急ぐ

 国内自動車大手が、電気自動車(EV)の航続距離が長い「全固体電池」の開発を強化している。次世代電池の本命とみられる全固体電池は日本勢が先行しているとされ、米テスラや中国の比亜迪(BYD)が席巻するEV市場での巻き返しに向けて早期の量産化を目指す。コストを抑える生産技術の刷新も急ぐ。

EV技術を巡る各社の戦略
EV技術を巡る各社の戦略

 日産自動車は16日、2028年度の量産を目指す全固体電池の試作ラインの予定現場を報道関係者に公開した。エンジンなどをつくる横浜工場(横浜市)の建物内に約1万平方メートルを確保し、設備搬入に向けて工事が進む。25年3月に稼働を始める計画だ。
 日産はこの日、異なる車体部品をアルミで一体成型する新技術「ギガキャスト」をEVで27年度から採用する計画も明らかにした。部品数が少なくなり、コストを10%削減できるという。ギガキャストはテスラが先んじて導入している。
 トヨタ自動車は27~28年に全固体電池のEV搭載を目指し、ギガキャストは26年発売のEVに採用する方針だ。ホンダは20年代後半の全固体電池の実用化を掲げている。
 日産によると、全固体電池はエネルギー密度が従来のリチウムイオン電池と比べて約2倍となり、充電時間は大幅に短縮できる。日産の生浪島俊一常務執行役員は「EVを爆発的に普及させるゲームチェンジャーになりうる技術だ」と強調する。
 ただ、安定して量産する技術を確立するのは容易ではない。競争の激しい電池分野で日本メーカーが主導権を握れるかは予断を許さない。

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