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日本GDP4位転落 ドイツに抜かれインド迫る 「失われた30年」、円安で【やわらかゼミ】

 日本の国内総生産(GDP)が2023年にドイツを下回り、4位に転落したとの記事を読んだ小学生の麻衣さん。証券会社でエコノミストとして働く母の保奈美さんに聞いた。

(イラスト 清水紗羅巳)
(イラスト 清水紗羅巳)


 麻衣 GDPって?
 保奈美 国内で一定期間に生み出したモノやサービスの価値をお金に換算して足し合わせたものよ。単純に実際の金額を足したものは名目GDP、物価の変動を考慮して計算したものは実質GDPって呼ぶの。国ごとにGDPを比べるときは普通、名目GDPをドルに換算するわ。
 麻衣 最新の順位は?
 保奈美 23年は1位が米国、2位は中国。これは22年と同じだったけど、ドイツが3位、日本が4位と順位が入れ替わったわ。日本の4兆2134億ドル(591兆8812億円)に対し、ドイツは4兆4561億ドルと上回った。
 さらに日本はインドに抜かれようとしていて、そのうち5位まで落ちるという見方が多い。10年に中国に抜かれるまでは2位だったのよ。
 麻衣 どうして日本は順位を下げているの。
 保奈美 一つは円安。円安ドル高が進むほどドル換算したGDPは目減りするから、最近の歴史的な円安は日本が順位を下げた要因ね。ドイツは物価高が日本より深刻で、その分だけ名目GDPが膨らんだ影響もある。こうした計算の仕方によるもの以外に、構造的な問題もあるわ。
 麻衣 構造的な問題?
 保奈美 日本は少子高齢化で人口が減少し続けているので、経済規模は拡大しづらい。インドは、人口が14億人を超え中国を上回り世界一になったからGDPも拡大するのは理解しやすい。一方、日本の6割しか働く人の数がいないドイツに抜かれちゃったんだから、こっちの方が深刻かも。
 麻衣 なんでドイツに抜かれちゃったの。
 保奈美 働く人1人当たりが、どれだけモノやサービスを生み出したかという生産性を比べると、ドイツが日本を上回っていることが指摘されている。日本は景気が悪くなり大きな銀行がいくつもつぶれた1990年代後半を経て、企業は生産性を上げるための人やモノへの投資を控え、経費節減を繰り返した。賃金は上がらず、物価も低迷するデフレ状態が長引き「失われた30年」なんて呼ばれた。
 麻衣 流れを変えたいね。
 保奈美 少子高齢化を食い止めたり、働く人が今の時代に合った技術を身につけたりする必要があるわ。政府は意欲のある高齢者が働く機会を増やそうともしている。
 麻衣 老後は遊んで暮らしたいな。
 保奈美 じゃあ、今からちゃんと勉強しないとね。

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