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建設業、不当低賃金を禁止 処遇改善へ改正案閣議決定

 政府は8日、建設労働者の処遇改善に向けた関連法改正案を閣議決定した。工事現場で働く人の人件費の目安を国が示し、不当に安い契約は禁止する。長時間労働是正のため、著しく短い工期での受注も禁じる。建設業界は4月からの残業規制適用で人手不足に拍車がかかる「2024年問題」が懸念されている。処遇改善で新規就労の増加につなげる。

建設労働者の処遇改善に向けた関連法改正案のポイント
建設労働者の処遇改善に向けた関連法改正案のポイント

 政府と業界団体は8日、首相官邸で意見交換会を開き、5%を十分に上回る賃上げを今年の目標にすると申し合わせた。岸田文雄首相は「給料が良く、休暇が取れ、希望が持てる産業に変えていかなければならない」と強調した。
 建設業は元請け、1次下請け、2次下請けに仕事が流れる中で、人件費にしわ寄せが行きやすい。改正案では、鉄筋の組み立てなど現場作業にかかる人件費を「標準労務費」として国が示す制度を創設する。
 受注者には、標準労務費を大幅に下回る見積もりを禁止する。受注者より立場の強い発注者には、不当に安い見積もりを受注者に求めることを禁じ、違反して契約すれば国や都道府県が勧告、公表する。
 資材価格が高騰した場合、適正に価格転嫁できる仕組みも設ける。受注者は資材高騰など想定される情報を発注者に事前提供し、代金や工期の変更方法を契約書に明記する。発注者には、変更協議に誠実に応じる努力義務を課す。
 現行法では著しく短い工期での契約を発注者側の禁止行為としていたが、新たに受注者側にも禁じる。残業や「週休1日」を前提とせず、きちんと休みが取れる工期とすることを目指す。

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