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NTT西社長 引責辞任 顧客情報流出 3月末で

 子会社で約928万件の顧客情報が流出する事件が起きたNTT西日本の森林正彰社長は29日、大阪市で記者会見し「不正持ち出しの社会的責任は極めて重大で、責任を取って退任する」と3月末で引責辞任する意向を表明した。日本を代表する情報通信グループにおける大量の情報流出は、社長の辞任という異例の展開となった。新しいトップの下で再発防止を進める。

NTT西日本子会社の情報流出の経過
NTT西日本子会社の情報流出の経過
記者会見で謝罪するNTT西日本の森林正彰社長(中央)ら=29日午後、大阪市
記者会見で謝罪するNTT西日本の森林正彰社長(中央)ら=29日午後、大阪市
NTT西日本子会社の情報流出の経過
記者会見で謝罪するNTT西日本の森林正彰社長(中央)ら=29日午後、大阪市

 森林氏は2022年6月の就任から2年を待たずに退くことになった。漏えいは「恥ずかしい限りであってはならないことだ」とし「後任はしかるべきタイミングで公表する」とも述べた。
 NTT西側は22年に顧客企業から情報流出の可能性を指摘され、調査していたにもかかわらず確認できず被害の拡大を招いた。専門家の検証によると、顧客に問題ないと回答するため、データの履歴を改変するといった不正な対応をしていた。
 社内調査を検証した外部弁護士は会見で「調査に値しない作業しか実施しておらず、事なかれ主義的な対応を繰り返した。虚偽回答もあり、極めてずさんだ」と非難した。会社が許可していない媒体や端末が接続できる不備も判明した。
 森林氏は「(対策が)性善説に立っていた」と問題を認め、今後はデータの持ち出しやサーバーへのアクセスを一括で制御する。100人規模の新たな組織を設置し、対策に100億円を投じる計画を示した。
 NTT西は役員や関係者の社内処分をする方針。元派遣社員には損害賠償を含めた民事上の責任追及を検討していることも明らかにした。
 情報流出は昨年10月に発覚。自治体や企業の顧客データが名簿業者など外部に漏れていた。総務省は2月9日、電気通信事業法などに基づきNTT西を行政指導した。
 岡山地検津山支部は21日、情報を流出させたシステムの保守を請け負う子会社のNTTビジネスソリューションズ元派遣社員の男を不正競争防止法違反の罪で起訴した。

 NTT西の情報流出 NTT西日本子会社のNTTビジネスソリューションズ(大阪市)でシステムの保守作業を担当していた元派遣社員が顧客の情報を不正に持ち出した問題。流出したのはNTTマーケティングアクトProCX(プロクス、大阪市)がコールセンター業務を請け負った企業や自治体など69団体の顧客情報約928万件。被害を受けた山田養蜂場(岡山県鏡野町)から2022年4月に漏えいの可能性を指摘されたが、当時の社内調査では把握できなかった。

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