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豊田織機 会長ら退任へ 認証不正の引責は否定

 豊田自動織機は29日、豊田鉄郎会長(78)が6月の株主総会後に相談役に退く人事を発表した。エンジンの認証不正問題を受けた事実上の引責との見方が出ている一方、豊田自動織機は経営基盤の一層の強化を理由に挙げ、引責を否定した。後任には、トヨタ自動車の寺師茂樹エグゼクティブフェロー(69)が就く。

寺師茂樹氏
寺師茂樹氏

 国土交通省は29日、道路運送車両法に基づきフォークリフトなど産業機械用のエンジン3機種の「型式指定」を取り消す行政処分案について、豊田自動織機から意見を聞く「聴聞」の手続きを実施した。同社は出席しなかった。「意見はない」とする陳述書を提出しており、近く処分が確定する。
 豊田氏はトヨタ創業家の出身。豊田自動織機の大西朗副会長(66)も副会長を退任し、取締役となる。広報担当の高木博康執行職は取材に「不正を受けた人事ではなく、当社がこれから進んでいくための体制だ」と説明した。
 外部の有識者で構成する特別調査委員会の報告書によると、不正が行われていたのは2007~21年。豊田氏は05年から、大西氏は13年から社長を務めており、在任と不正の期間が重なる。23年6月に就任した伊藤浩一社長(60)は続投する。
 豊田自動織機では23年3月、産業機械用エンジンで不正が発覚。今年1月には自動車用でも不正が確認された。エンジンの供給を受けるトヨタは一時、10車種の生産、出荷を停止。国交省は2月22日、再発防止や経営責任の明確化を求める是正命令を出した。
 型式指定は、新車やエンジンが安全や環境に関する性能の基準(保安基準)を満たすかどうか審査し、認証する制度。指定を取り消されると大量生産ができなくなる。

 寺師茂樹氏(てらし・しげき)神戸大院修了。80年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)。副社長などを経て、21年1月からエグゼクティブフェロー。兵庫県出身。

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