静岡人インタビュー「この人」 自由にしたためる「遊字」の講座を展開する 宮本康典さん(浜松市中央区)
両親が創業した生活雑貨店「四季彩堂」の常務取締役を務めながら、自由な発想で温かみのある文字を表現する「遊字(ゆうじ)」の教室を浜松市中央区の本店や愛知県豊橋市の支店で主宰する。2月には浜松市内の小学校で、卒業を控え、手書きのメッセージを家族に贈るという6年生を対象に講座を開き、好評だった。38歳。
―遊字の特徴は。
「遊び文字などとも呼ばれる。文字の一部を太くしたりメッセージだったら1文字だけ大きくしたりと強弱を付ける。文字をあえて崩すことで柔らかい雰囲気が出る。店のポップや客へののしに独自に書いていたら人気が出て、10年ほど前に常連客らに請われて講座を開くようになった」
―どんな人たちが遊字を教わっているのか。
「講座を始めたばかりの頃は、生徒は絵手紙に添える文字をうまく表現したいという中高年が多かった。月に1度、15人程度の定員は毎回埋まり、評判が広まって今回、初めて小学生に教えた。児童は、上手に書こうと意識しすぎる大人よりも発想が柔軟で、とてもいい雰囲気に仕上がっていた」
―デジタルでもさまざまな文字表現ができる時代にあえて手書きで表現する意義は。
「すべて手書きがいいとは思わない。ただ、今回指導した小学6年生のように、卒業を前に親らに謝意を伝えるといった人生の節目のイベントでは、手書きの方が気持ちが伝わる」
―今後の方針は。
「子どもの頃から書道は得意だったが、書の専門家ではない。その分、地域の人たちの相談に柔軟に応じ、手書きの文字の可能性を広げられたらと思う」
(浜松総局・松浦直希)