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インボイス制度 開始から半月 道の駅 負担軽減へ苦慮 農家の収入減、廃業を懸念

 仕入れにかかる消費税の二重課税を防ぐ「仕入れ税額控除」の適切な実施に向けたインボイス(適格請求書)制度は、スタートから半月が経過した。控除を受けられるのはインボイスに登録した課税業者に限られ、売上高1千万円以下の免税業者から原料や商品を仕入れる場合は発注者の負担増となる。免税業者との取引が多い道の駅などでは、負担軽減に向けた対策を進める動きもある。

販売棚を増やし、売り上げを確保して対応する予定の伊豆ゲートウエイ函南=函南町
販売棚を増やし、売り上げを確保して対応する予定の伊豆ゲートウエイ函南=函南町


 地元農家から仕入れた朝取れ野菜を販売する函南町の道の駅「伊豆ゲートウエイ函南」は、取引業者120件のうち約1割が免税業者。これまでインボイス制度の説明会を重ね、最終的な登録可否の判断は「各業者の意思を尊重する」とした。免税業者であっても取引内容を変更せず、消費税の負担増は売り上げを確保してカバーするという。
 同施設は店内を改装し、販売棚を増設予定。商品の種類をさらに増やすことで、新型コロナウイルスの5類移行で高まる観光客などの需要に対応する。田中三智子駅長は「納品する農家あっての道の駅。インボイスを良い機会に効率的な販売を考えたい」と語る。
 対応に苦慮する声も上がる。道の駅くんま水車の里(浜松市天竜区)は制度開始を前に、従来農家から買い取り販売していた茶などに関して、委託販売に移行した。売れた分の手数料を支払う仕組みにすることで仕入れ数量を抑える。担当者は「経営環境が厳しい中での苦肉の策。個人経営の農家の制度対応は難しい」と説明する。
 道の駅に納入する農家は高齢者も多い。県西部にある別の道の駅担当者は「課税事業者に移行する手続きを負担に感じる人は多い。実質的な収入減少は農家の廃業や出荷停止につながる懸念もある」と話す。
 (経済部・金野真仁、天竜支局・平野慧)

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