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新浪氏(サントリーHD社長)×中西氏(しずおかFG会長) デフレ時代に「決別の意思を」 新たな社会経済へ 静岡で対談

 デフレ脱却への転換点に立つ日本経済の将来を語り合う「しずおか経済講演会」(静岡経済同友会静岡協議会、県経営者協会、静岡商工会議所共催)が5日、静岡市駿河区で開かれた。サントリーホールディングスの新浪剛史社長と、しずおかフィナンシャルグループの中西勝則会長が対談し、人的資本投資や地域貢献など新たな社会経済の実現に向けた企業、地方の役割について考えた。

新たな社会経済の実現へ思いを語った新浪剛史氏(右)と中西勝則氏=5日午後、静岡市
新たな社会経済の実現へ思いを語った新浪剛史氏(右)と中西勝則氏=5日午後、静岡市

 新浪氏はバブル経済崩壊後のデフレ下で企業が思考停止に陥り、雇用を守るためにコストカットを続けた昭和、平成の約30年に対して「決別の意思をしっかり持つことが大切」と訴えた。物価上昇を超える賃上げや人材教育の継続で企業の生産性を高める勢いを形成し、デフレマインドを払拭して「前に進む明るい社会を作ることが経営者の仕事」と訴えた。
 中西氏は企業経営者として共助の必要性を強調。経営を黒字化するために「リスクを取らないのが今までの時代」と述べ、設備投資や人材育成、地域貢献などを通じて企業価値を創造する大切さを説いた。人的資本の育成は「自分、企業、政府」がそれぞれ取り組むべき課題とし、従業員が多様な場で学び、活躍することで企業や社会が成長する好循環実現を呼びかけた。
 人手不足が深刻化する中で、新浪氏は「エッセンシャルワーカーの支えがあるからこそ経済は成長する。給料を2倍にできる社会にしたい」と語った。中西氏は福祉の大切さにも触れ、「障害者や高齢者が安全で安心な社会は温かい。共助の資本主義に通じる」との思いを述べた。
 (経済部・金野真仁)

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