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静岡・井川の言葉を後世に 「地域の宝」録音、保存 国立国語研究所 聞き取り調査【動画あり】

 国立国語研究所(東京都)は18~20日、静岡市葵区井川地区の住民を対象に方言の聞き取り調査を実施した。地方の高齢化や過疎化で失われつつある語彙(ごい)や発音などを後世に残そうと取り組む「消滅危機言語の保存研究」プロジェクトの一環。研究者3人のほか、言語学などを専攻する県内外の大学生ら9人が情報収集した。

集まった住民から方言などを聞き取る学生たち=静岡市葵区小河内
集まった住民から方言などを聞き取る学生たち=静岡市葵区小河内
方言調査が行われた井川地区=静岡市葵区
方言調査が行われた井川地区=静岡市葵区
集まった住民から方言などを聞き取る学生たち=静岡市葵区小河内
方言調査が行われた井川地区=静岡市葵区

 同地区の田代、小河内、本村の3集落で行われ、計21人の住民が協力した。このうち同地区最北端に位置する小河内集落では、60~90代の8人が参加した。発声のイントネーションを録音するため住民にマイクを付け、動物や道具など18分野から選ばれた単語の表現方法を調べた。
 住民は「ぱしる(帰る)」など「パ行」で始まる言葉や、否定をする際に語尾に付ける「のー」、アクセントのない話し方など、独特の言い回しを披露した。参加した望月弥一さん(90)は「若い人と会話をしていても方言が通じないことがあり、廃れているのを感じていた。文章のほかに音声を後世に残していくことも大事なこと」と話した。聞き手を務めた静岡理工科大4年の矢板橋芳生さん(21)は「消滅してしまうかもしれない言葉に興味があり参加した。井川には初めて来たが、住民との会話を通じ、その土地の文化や歴史も感じ取れることができて有意義だった」と振り返った。
 調査結果は後日、小辞典にまとめて関係者に配布するほか、国立国語研究所のホームページで音声とともに公開する。調査のプロジェクトリーダーを務める山田真寛准教授(41)は「国内各地の特徴ある方言は消滅の危機。方言は地域の人たちにとって大切な宝なので、保存や継承の活動にこれからも積極的に参画してほしい」と住民に呼びかけた。
 (写真部・坂本豊)

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