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自民静岡県連、内憂外患の様相 「ポスト川勝」選びで分裂の火種 裏金事件でベテラン離党勧告も打撃

 自民党県連が難局に直面している。党派閥の政治資金パーティー裏金事件で逆風にさらされる中、重鎮が離党勧告処分を受け、知事選でも難しい対応を迫られているのが実情。党勢が上向く気配はなく、「ポスト川勝」選びでは分裂の火種を抱え、内憂外患の様相だ。

自民党県連関係者に裏金事件の対応を説明する茂木敏充幹事長(左奥)=7日、静岡市内
自民党県連関係者に裏金事件の対応を説明する茂木敏充幹事長(左奥)=7日、静岡市内

 「ご苦労をおかけしている。深く反省し、強い危機感を持って対応しないといけない」
 党本部が7日に静岡市内で開いた政治刷新車座対話。茂木敏充幹事長は裏金事件で政治不信を招いたとして、県連三役やベテラン県議らに謝罪した。出席者からは「岸田文雄首相(党総裁)が責任を取るべき」「関係者全員の処分が必要」など厳しい声が相次いだ。
 裏金問題は地方議員にも深刻な影響を及ぼす。県中部の市議は「街頭で政策を訴えても聞く耳を持ってくれない」と危機感を募らせる。
 本県では衆院静岡8区を地盤とする塩谷立氏(衆院比例東海)が離党勧告処分を受けた。塩谷氏は12日、処分を不服として再審査を請求したが、認められなかった場合、離党届を出さなければ除名になる。9日に開かれた党県連の国会議員の会合では「出席するのはこれが最後になるだろう」と話したという。
 今後の焦点は8区支部長ポストの行方だ。今のところ擁立の動きは具体化していないが、早期の衆院解散も取り沙汰される。増田享大県連幹事長は「時間的余裕もないため地元としっかり協議したい」と述べた。
 川勝平太知事の辞職に伴って行われる知事選対応にも慌ただしく追われる。「打倒川勝」を掲げてきた自民にとって知事ポストの奪取は悲願だが、裏金事件が直撃。党派を超えた「オール静岡」の候補者を模索し、独自候補の擁立は見送る方向だ。ある県議は「不信任(決議案)までやったのに、自前の候補者を出せないのはみっともない」と自戒を込めて語る。
 知事選を巡っては、元総務官僚で静岡県副知事も務めた大村慎一氏(60)が立候補を表明。前浜松市長の鈴木康友氏(66)も15日に出馬会見を開く予定で、選挙戦に突入する公算が大きい。立憲民主党の衆院議員渡辺周氏(62)=比例東海=も出馬に意欲を示している。
 自民県連は候補者の政策を見極めた上で対応を決める方針だが、大村、鈴木両氏を支援する経済界の思惑も絡み、難しい選挙戦略を迫られるのは必至だ。
 (政治部・森田憲吾)

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