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静岡伊勢丹、常連顧客限定サロン開設 年間購入額100万円以上で利用可

 静岡伊勢丹(静岡市葵区)は、来店客数を増やして販売額を伸ばす百貨店の従来スタイルから脱却を進めている。幅広い層に訴求力を持つ催事を継続する一方で、顧客個々へのきめ細かな販促活動に力を注いでいる。年間購入額が一定水準を超える常連客限定で専用サロンを開設し、商品の取り寄せサービスも始めるなど接遇面を強化し、満足度向上を図る。

年間購入額が100万円以上の顧客が利用できるサロンの受付=27日、静岡市葵区の静岡伊勢丹
年間購入額が100万円以上の顧客が利用できるサロンの受付=27日、静岡市葵区の静岡伊勢丹


 同社は従来、商品や催事情報をチラシやテレビCMで広く発信していたが、ECサイト(電子商取引)の普及や新型コロナウイルス禍で多様化した消費への対応を模索。昨秋から顧客個々の購買履歴の分析に本腰を入れ、公式アプリを使ってお薦め商品を個別に提案し、購買機会の増加を図っている。
 年間購入額が100万円以上の顧客向けサービスも拡充し、5階の紳士服売り場の一角に27日、専用サロンをオープンさせた。室内に飲み物を備えるなど休憩所として利用可能。サロン内では、伊勢丹新宿本店などグループ旗艦店と連携した高級ブランド品の物販イベント、高級車や高額旅行の商談会といった専用企画を展開する。昨年12月には、都内の旗艦店から高級衣料品や雑貨を取り寄せるサービスを始めた。今年1月からは専属スタッフが顧客に付き添って館内の案内や商品の提案を行っているほか、旗艦店への同行にも応じている。
 これらの取り組みを通じ、年間購入額100万円以上の顧客を1割増やすのが目標という。同額をわずかに下回る顧客層への販促にも努め、売上高全体を約20%伸ばしたい考えだ。秋野孝三社長は「感度が高く上質な選択肢を増やし、県民が大切な物を購入する際、最初に選ばれる店にしていく」と語る。
 (経済部・駒木千尋)

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