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【京アニ放火殺人】「判決内容には納得」「死刑でも戻らない」大村勇貴さんの関係者 やるせなさ募らせ

 「判決内容には納得」「でも大村さんは戻ってこない」。京都アニメーション放火殺人事件の裁判で殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)に死刑判決が言い渡された25日、犠牲になった菊川市出身の大村勇貴さん=当時(23)=とゆかりがある静岡県内関係者は、事件から約4年半もの月日をかけて迎えた節目に、改めて大村さんを失った強い無力感とやるせない思いを募らせた。大村さんら36人もの尊い命が失われた事実を忘れてはならないと、事件の風化防止への決意を新たにした。大村勇貴さんが描いた絵本や作品にちなんだ手芸品を紹介する青森千枝美さん(左)=1月下旬、松崎町の企業組合「であい村 蔵ら」
 大村さんが進学した常葉大造形学部で交流があった後輩の男性会社員(26)=富士市出身=は「判決は思った通りだった。ただ、死刑になろうが反省しようが大村さんが戻ってくることはない」と喪失感をあらわにした。男性は大村さんと同じくアニメが好きで、描いた絵や作品集を見せ合う仲だった。「今後も会う機会があったなら、アニメ制作の話が聞きたかった」と静かに語った。
 大村さんは在学中、絵本「うーちゃんのまつざき」の舞台として描いた松崎町を何度も訪れた。作品にちなんだ展示会を開いた企業組合「であい村 蔵ら」には大村さんの両親が今も時折訪ね、父親が制作する木工作品を扱うなど交流を続ける。青森千枝美代表(88)は「納得できる判決。ただ、犠牲者や遺族一人一人への丁寧な謝罪がほしかった。大村さんのご両親のためにも、松崎が〝うーちゃんのまち〟だと伝えていく」と力を込めた。大村勇貴さんが描いた絵本を読み、思いを巡らす青森千枝美さん(右)ら=1月下旬、松崎町の企業組合「であい村 蔵ら」
 当時、町職員として町内の観光地などを案内した深沢準弥町長は「事件は一区切りだが、喪失感を背負い続けるご両親の気持ちは複雑だろう。大村さんの思い出の地としてこれからも寄り添いたい」と語った。
 大村さんの母校の掛川工高では事件以降、大村さんが在校当時に手がけた学校祭ポスターや読書感想文、卒業後の作品を集めた「大ちゃん文庫」を開設し、新入生ガイダンスなどの機会を利用して全生徒に紹介してきた。杉山直康図書主任(57)は判決までの日々を「あまりにも長かった」とした上で「同じ時間と空間を共有した者として、大村さんが生きた証しを後輩に伝え続ける」と話した。大村勇貴さんが遺した作品が並ぶ「大ちゃん文庫」=1月中旬、掛川市の掛川工高

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