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旅先でお手伝い、静岡県が連携 マッチングサイト「おてつたび」活用、働き手確保へ事業者支援

 静岡県は今夏から、旅先での仕事の手伝いを盛り込んだ「旅」を提案する求人サイトの運営会社「おてつたび」(東京都)と連携し、人材不足に課題を抱える宿泊施設の支援を始めた。夏から秋にかけてピークを迎える繁忙期対策として事業者に活用を促す。

おてつたびを利用し、宿泊しつつ清掃する大学生ら。働き手確保とファン獲得が期待される=8月上旬、松崎町雲見
おてつたびを利用し、宿泊しつつ清掃する大学生ら。働き手確保とファン獲得が期待される=8月上旬、松崎町雲見

 2023年3月時点の県内の宿泊者数は新型コロナウイルス感染拡大前の19年3月比で88・7%にとどまり、他県よりも回復が遅れている。県によると、宿泊施設が人手不足で予約増加に対応できない状況が背景にあり、業務内容や立地から住み込みで働く必要がある伊豆などの観光地で人材確保が課題になっている。
 同社は働き手確保に苦戦する農家や宿泊施設などの事業者と、地方で旅を楽しみながら仕事もしたい人を結ぶ求人サイトを運営する。双方に登録してもらい、マッチングが成立すると、手伝う側は現地で仕事に従事し、余暇に観光も楽しむ。現地までの交通費は負担する。受け入れた事業者は時給を支払う。
 静岡県は「おてつたび」との連携を繁忙期の対策と捉える。セミナーを開いて事業者に活用を促すほか、サイト内に本県や県内登録事業者をPRする特設ページを設けた。無償で求人ページ作成も支援する。
 同社によると、8月末現在の県内の登録事業者数は88事業所で全国最多。8月中は県内の11宿泊事業者のもとで89人が仕事を手伝ったという。これまで繁忙期に広告費をかけて求人を出していた松崎町雲見の民宿「彩雲俺の家」は今回、同サイトを通して8月上旬に大学生を受け入れた。同民宿を営む高橋謙太さんは「マッチング後にしか費用がかからず、効率的な採用ができた」と評価した。
 新型コロナ禍を経て同社サイトへの登録数は、事業者、手伝いを希望する人とも増加している。同社の広報担当者は「希望者が多く、求人に追いつかない。単に名所や絶景を訪ねる旅から、交流や出会い、経験を求める人が増えている。ファンとして利用や購入につながるケースもある」と話し、県との連携による登録者増に期待を寄せる。
 (政治部・青島英治)

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