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ゾウの花子を追う㊥ 焼津市沿岸部で「クル病」療養 サメのエキスを飲んだり塗ったり【NEXT特捜隊】

 骨が軟化する「クル病」の治療のため、北海道から現在の静岡市清水区に移住したゾウの花子。わずか2カ月で焼津に居を移したところまで前回の㊤で報告した(⇒ここまでの経緯はへ)。その後の取材で、花子が焼津で暮らしていた場所を知っているという、焼津市の森鉄次さん(70)と知り合い、かつて象舎があった場所に案内してもらった。

1976年当時、花子の象舎があったところ。奥の白い建物は民宿だったという=12月中旬、焼津市小浜
1976年当時、花子の象舎があったところ。奥の白い建物は民宿だったという=12月中旬、焼津市小浜

 森さんと訪ねたその場所は焼津市沿岸部の小浜(おばま)。現在は更地だが、かつての小浜海水浴場の西側に当たり、今はガス関連企業が所有している。森さんは「花子がいた当時は海に堤防がなく、象舎のすぐ近くまで砂浜が続いていた」と振り返る。
 花子は海を望む小屋で過ごしていたようだ。ガス関連企業の所有となったのは2017年頃のこと。同社に問い合わせたが、当時、象舎は既になかったという。
 焼津市出身の女性(52)からも花子にまつわる記憶を聞いた。「象舎の隣に、プールのようなとても深い風呂があって、花子を吊るすためのリフトがあった」という。静岡市駿河区の市立日本平動物園によると、骨が弱っている大型動物に対し、足の負担を軽減するためにリフトで吊るして移動を補助することは一般的だという。同園の担当者は「水の浮力を使ってリハビリすることもある。プールは花子のリハビリに使っていたのかもしれない」と推測した。
 取材を重ねる中で、花子の世話を当時していた焼津の健康食品会社「海洋牧場」元社長の長男、金子栄さん(66)から話を聞くことができた。「会社が花子の世話をしていたのは1976年から1年ほどだったと記憶している」と金子さん。当時、海洋牧場は「シンカイザメエキス」というシンカイザメの肝油を販売していた。シンカイザメエキスが、花子が患っていた骨が軟化する病「クル病」に効果があるのではないかと考えた社長が、花子の親代わりだった剥製家の信田修治郎さんに協力を申し出たという。
 金子さんによると、シンカイザメエキスは花子の餌に混ぜて食べさせたり、患部に塗ったりした。金子さんは当時の記憶をたどり「かなり良くなった印象だった」と振り返る。
 1年ほどが経過し焼津を出た後、花子はどうなったのか。
 金子さんによると「まず静岡市に移って、その後パラグアイに行ったと聞いたが、詳しいことは分からない」とのこと。なんと、静岡を出た後、花子は南米パラグアイへの大航海に出たのだという。
 その後の生涯を引き続き追いかけることにした。⇒に続く

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