浜松市長 施政方針要旨
中野祐介浜松市長が２７日に行った施政方針演説の要旨は次の通り。
【就任１０カ月】
就任直後の昨年５月には浜松まつりが開催され、３日間で過去最多２５５万人の人出となった。特に大河ドラマ出演者による騎馬武者行列は大盛況となった。大型連休明けに新型コロナウイルス感染症の位置づけが５類に移行し、かつての日常が戻ってきた。浜松が大いに盛り上がり、全国や世界に浜松の魅力を発信できた。夏にはスポーツの話題も多くあり、活躍する選手たちの姿は市民に大きな勇気を与え、スポーツが持つ「まちを元気にする力」をあらためて認識した。
一方、昨年６月には台風２号に伴う豪雨で土砂崩れや家屋の浸水など各地で甚大な被害が発生した。また、物価やエネルギー価格の高騰が市民生活に大きな影響を及ぼし、早期の対策や復旧が求められる日々が続いた。これらに対しては直ちに補正予算を編成し、安全安心の確保にスピード感を持って取り組んだ。昨年１０月からは出張市長室や市政を語る会を開催し、市内各地の現場を訪ねて生の声を聴くことができた。
１月からは３区による新たな浜松市がスタートした。区政と中山間地域振興を担当する副市長を天竜区役所に配置し、それぞれの地域特性を踏まえた丁寧な対応を行う。今後は協働センターやふれあいセンターのコミュニティ担当職員を増員し、住民に寄り添った支援を強化する。全国で初となる全市域にわたる区再編を契機に、より足腰が強く、機動的な対応ができる行政体制を構築し、持続可能な市政運営を実現する。
【２４年度市政運営方針】
「浜松から地方創生」を基本方針と掲げ、市政運営を行ってきた。浜松市は広大な市域にそれぞれの地域の特色や魅力があり、産業基盤は厚く、温暖な気候で暮らしやすい、市民には「やらまいか」のチャレンジ精神が根付いている、など素晴らしいポテンシャルを持つ。しかし、これだけ恵まれた地域でありながら、全国の他地域と同様、人口減少が進行している。
人口減少からの転換を図るには市民の誰もがそれぞれの場面で活躍できる元気な社会を実現することが必要。住んでいる人はいつまでも住み続けたいと望み、一度市外へ出ても安心して戻ってくることができ、市外や県外の人には住んでみたいと思われるような、市民が幸福を実感できるまちこそが目指すべき姿だ。
【地方創生】
「まち・ひと・しごと」の創生を一体的・総合的に進めることで、浜松を元気にする取り組みを加速化する。「まち」の創生では、観光、文化、スポーツ、自然など市の財産を最大限に生かして都市の魅力をさらに高める。中心市街地では来訪者の動向をビッグデータで調査分析し、にぎわいの“仕掛け”をつくることによって、交流人口を増やし、まちづくりにつなげる好循環を構築する。
「ひと」の創生では少子化の流れを食い止めるため、子ども・子育て施策を充実させる。安心して子どもを産み育てられ、子どもたちがそれぞれの才能や特性を伸ばし、成長できる環境を整えることで、何世代にもわたって住み続けたいまちを実現する。「しごと」の創生では１次、２次、３次産業のさらなる成長を促進する。次世代自動車対応の技術開発支援、次世代航空モビリティの活用、産業用ロボットの新規導入促進、スマート農林水産業の推進など、従来の枠組みを超えた新たな産業の芽を伸ばし、市の産業基盤をさらに強固にしていく。
【財政運営方針】
当初予算は、各政策・事業の効果検証と再構築を徹底し、限られた財源を最大限有効に活用することで、（市債残高の削減目標などを定めた）中期財政計画に基づく「規律ある財政運営」と、人口減少・少子高齢化、地域活性化、脱炭素化など、持続可能な社会への対応をはじめとした「必要施策の積極的な推進」を両立した。
１５年度に開始した中期財政計画が２４年度に終期を迎えることから、２３年度の決算状況を注視して現行計画の目標達成に取り組む。次期計画の策定においては、中長期的な歳入・歳出を適切に算定し、債務の適正な管理と必要な投資をしっかりと両立させて計画に盛り込み、持続可能な財政運営を継続する。
【市民への決意】
これまで全国各地の自治体で暮らし、地方自治の現場で地域の活性化に携わってきた。離れていたからこそ、全国のどこの都市にも負けないポテンシャルの高さを確信している。また、浜松市は他都市に比べて市民の力や地域のつながりが強い。市民が「自分事」として地域の未来に関心を持ち、参加し、支え合う共助型社会の構築に向けて力を尽くす。「初心忘るべからず」。今後も市長就任時の初心を忘れることなく、現場に足を運び、多くの市民や企業、団体の皆さまとさまざまな形で議論を重ね、声を聴きながら、「オール浜松」で「元気なまち・浜松」を実現していく。
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